南太平洋ポリネシアの東端に位置する、復活祭の日にオランダ人の提督が到達したゆえにパスクア(イースター)の島と呼ばれ、チリ領だが本土からは3,700kmも離れている。小豆島ほどの大きさに過ぎないが、ポリネシアから渡来したポリネシア王が小石を積み上げた墓の上に石像を置く習慣からモアイが作られるようになった。しかし、その後人口増加による食料資源枯渇から島内部族間の抗争が激化し、互いに守り神であるモアイを引き倒したことで、作りかけを含め1,000体近くあったモアイすべてが倒され、現在復元されたのはうち45体しかない。
筆者は島に15回余通い、短期間居住もして、人面のモアイ像だけでなく、美しい洞窟や火山の山麓などの自然、祭りなどの島の文化・伝承の魅力、ラパ・ヌイ(現地語で“大きな島”の意)の人々の姿を、美しいカラー写真とともに紹介している。 〔桜井 敏浩〕
(中央公論新社(中公新書) 2015年6月 178頁 1,000円+税 ISBN978-4-12-102327-8 )