コロンブスの新大陸到達以来、現在世界中に広まり栽培され食用に供されているラテンアメリカ原産の食物は極めて多い。それらの中で、日本人の食生活に根付いているトウモロコシ、ジャガイモ、トウガラシを中心に、キヌア、サツマイモやカボチャ、アボガド、パパイア、パイナップル、カカオ、カシューナッツ等を取り上げ、40年余南米に通っている写真家が原産地を訪ねて栽培する人々の姿、自然環境や食利用の様子、人々の生活との関係などを、美しいカラー写真で見せてくれる。
これら食物や果実の色、形、種類が実に多種多様であること、その栽培、収穫、保存、加工、調理に、それぞれの地方、家庭なりに工夫がなされていることなどもよく判る楽しい写真の豊富な紀行・解説になっている。
〔桜井 敏浩〕
(中央公論新社(中公新書) 2015年4月 182頁 1,000円+税 ISBN978-4-12-102316-2 )
〔『ラテンアメリカ時報』2015年秋号(No.1412)より〕