2014年のサッカーワールドカップ ブラジル大会で得点王となり、その後スペインの名門FCレアル・マドリードで活躍中のコロンビアの生んだ世界的なサッカー選手James David Rodoriguez Rubio の詳細な半生記。
サッカー選手の子として生まれ、5歳の時に母の再婚相手の義父の奨めでサッカー学校に入り、2年後に母の故郷のサッカー・アカデミーに転じ、13歳でコロンビア1部リーグのチームからスカウトされ、14歳でプロデビューを果たした。その後も17歳でアルゼンチンに、その2年後にはポルトガルの名門FCポルトへ移籍してリーグ、ポルトガル・スーパーカップ、欧州リーグのそれぞれでの優勝に貢献し、現在に至るまでを、家族や友人、周囲の支援、本人のサッカー哲学、鍛錬などを綴っているが、貧しい家庭からサッカー界で頭角を現し、スカウトに将来性を見出されて、次第にコロンビアのみならず外国の上位のチームへの転籍によりキャリアを積んでいくという、スポーツ少年の夢を実現させた姿がよく描かれていて、ラテンアメリカで男の子が貧困から抜け出す数少ない手段の一つとされているサッカーの社会的な位置付けの実例を知ることができる。
〔桜井 敏浩〕
(金関あき・ゴンサロ・ロブレド訳 実業之日本社 2015年8月 263頁 1,600円+税 ISBN-978-4-408-45556-3 )