15年毎にラテンアメリカの社会の変容と女性のおかれた環境変化を、同じ編者が検証してきたシリーズの3冊目。
序章で地域全体の女性が活躍する21世紀のラテンアメリカ社会、女性をとりまく社会・経済状況、女性の政界進出を、日本との比較データを示しつつ概観し、次いで20世紀の遺産を相続しているアルゼンチン、激変する体制下のボリビア、ジェンダー格差克服に挑戦するブラジル、女性大統領を誕生させたチリ、女性の地位を向上させているコスタリカ、階層を超えて平和を求めるコロンビア、平等主義と自由化の間で生きるキューバ、女性を軸に国づくりをするドミニカ共和国、多民族国家として歩むエクアドル、女性の権利主張が生命への危険があるエルサルバドル、民族階層を超えようとしているグアテマラ、ジェンダー格差克服を目指すホンジュラス、連携により女性が活躍するジャマイカ、男女平等社会を目指すメキシコ、左派政権が復活し保守化した中で生き残りを図らねばならないニカラグア、運河に左右される経済の中でのパナマ、政治の民主化の中で社会参画が始まったパラグアイ、教育水準の向上で女性の社会進出が変貌したペルー、女性の政治参加が進展しているウルグアイ、ボリバル革命下での女性政策をみたベネズエラと、20カ国の現在の社会での女性を取り巻く環境をそれぞれの研究者が考察している。
〔桜井 敏浩〕
(新評論 2015年11月 416頁 3,800円+税 ISBN978-4-7948-1024-3 )
〔『ラテンアメリカ時報』2015/16年冬号(No.1413)より〕