「資源大国」「グローバル経済の最前線の一つ」「アマゾン地域自然破壊に代表される地球環境問題のスポット」「多人種・多文化社会」など様々な顔をみせるブラジルのいまを、多角的視点での180余の項目を50名の研究者、官民実務者などが解説している。
7章構成で、「日本とブラジル」(編集-山崎圭一・桜井敏浩)は日系ブラジル人、外交・貿易・投資関係、経済・技術協力、文化・スポーツ交流を、「政治と外交」(子安昭子)は政治の流れと政府・政治アクター、外交を、「経済」(浜口伸明)は経済構造、財政、対外関係、雇用と所得を、「産業」(二宮康史)は産業発展・政策、企業、主要産業の状況を、「社会政策・社会運動」(近田亮平)では教育・医療保健・貧困対策と社会扶助、治安、マイノリティ、社会運動などを、「環境と開発」(丸山浩明)は気候変動と環境政策、アマゾン・パンタナール・ノルデステの環境と開発、都市化・都市環境、クリチバの事例に見る環境都市の可能性を、「法制度」(阿部博友)は憲法・法規範、司法制度、刑法・刑訴法、民商法、企業法・資本市場法、経済法、税法、労働法、環境法、民訴法、倒産法、仲裁法、市民生活関連法を網羅している。これに略号、年表、人名・事項索引が付く。
記述は主として21世紀に入ってからに絞っており、自然・地理・歴史・文化等と20世紀までの記述は2005年に出版された『現代ブラジル事典』(新評論刊)を参照し併せ使うことで、極めて有用なブラジル総合事典となっている。
〔桜井 敏浩〕
(新評論 2016年4月 256頁 3,500円+税 ISBN978-4-7948-1033-5 )
〔『ラテンアメリカ時報』2016年春号(No.1414)より〕