サックス、フルート奏者として活躍し、1999年から日本で音楽活動をして、在日キューバ人協会長も務めるキューバの一ミュージシャンの自伝。訳者たちによる長時間インタビューを基に纏められたもので、2009年に同社から出した『リアル・キューバ音楽 キューバ人が教える人生の楽しみ方』の文庫化(したがい数値は原書当時のもの)。
1955年にキューバ中央部のシエゴ・デアブラで生まれキューバ革命後ハバナに移り住み、少年時に出会ったクラリネットから音楽に目覚め18歳で軍楽隊に入り、そこで多くの優れたミュージシャンと出会い、またサックスの独学を始める。21歳で除隊しテストを受け国家公認のミュージシャンとして登録されプロの道に入り、次第に実績を挙げ兄弟でバンドを立ち上げ、海外公演も出るようになり、1994年には渋谷のライブ・レストランに出演のため来日、日本女性と知り合い結婚した。翌99年に夫人とともに日本へ移住し、日本人ミュージシャンとバンドを結成した。
コラムとしてキューバの音楽の歴史、ジャズ等の影響、音楽教育等の解説が間に入っており、日本でのキューバ音楽事情、キューバ音楽で使われる楽器の解説、参考図書なども付けてある。
〔桜井 敏浩〕
(大金とおる共訳・吉野ゆき子通訳・飜訳 ヤマハミュージックメディア 2015年10月 285頁 950円+税 ISBN978-4-636-91758-1 )