【日時】2016年11月8日
【場所】フォーリン・プレスセンター
【講師】エラルド・エスカラ駐日ペルー共和国大使
エラルド・エスカラ駐日ペルー共和国大使をお迎えし、クチンスキー新大統領の政策と11月19日から開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)ペルー首脳会議について伺いました。約50名の方にご参加いただきました。講演の要旨は以下の通りです。
・APEC首脳会議がペルーの首都リマで11月19日より開催される。APEC会議の優先議題は、⑴地域経済統合推進と質の高い成長、⑵地域フードマーケットの促進、⑶アジア太平洋零細・中小企業の近代化、⑷人材開発の4点。それぞれ具体的には、⑴アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現、⑵「食料安全保障」のための持続的な地域市場の構築、⑶中小企業のグローバル・バリューチェーン参画支援、⑷オープンで包摂的な教育制度改革などを議論し、広範な連携を前提とした行動指針を採択することにある。
・本年7月に就任したクチンスキー大統領は、国際機関勤務を経て、首相や経済財政相などの要職経験をもつエコノミストとして知られている。新政府は「治安改善」「経済の再活性化」「汚職対策」「社会的投資」の4つの目標を掲げている。
・経済活性化に向け、売上税(sales tax)の18%から15%への引き下げ、雇用改善、中小企業の育成などの具体的対策を実行することで、成長率を5%以上に回復させ、2020年のOECD(経済協力開発機構)参加を目指す。
・汚職対策では、審理の迅速化などの司法制度改革に加え、汚職公務員に対する罰則強化を盛り込んだ法律を制定し、違反者の公職復帰を禁止する。
・社会的投資では、教育や農村でのIT化促進、健康保険制度の整備、飲料水普及といった具体策に取り組む。
講演の後、出席者との間で活発な質疑応答があり、TPPに対するペルーの姿勢、中小企業にフォーカスした新たな税制度、大統領の中国訪問の狙いと訪日の可能性、大統領選で競り合ったケイコ・フジモリ氏との関係修復や国民分断対策、近隣諸国との外交など、様々な質問に丁寧にお答えいただいた。
【配布資料】
■「Challenges face the new Peruvian president Pedro Pablo Kuczynski:before the APEC summit」
エラルド・エスカラ駐日ペルー共和国大使 作成
※配布資料はHPイベント>配布資料に掲載されています。会員限定となりますので、ご了承ください。
エスカラ駐日ペルー大使