「日本企業の社会貢献(CSR)」第1回講演会報告 (2016年11月10日(木)開催) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

「日本企業の社会貢献(CSR)」第1回講演会報告 (2016年11月10日(木)開催)


【演題】ラテンアメリカを対象とした日本企業の社会貢献(CSR)活動
-三井物産と三菱商事の事例-

【日時】2016年11月10日(木)
【場所】米州開発銀行(IDB)アジア事務所 会議室
【講師】
(1)三井物産株式会社 環境・社会貢献部 寺澤明子 社会貢献室長
    「三井物産の在日ブラジル人支援活動」
(2)国際社会貢献センター 森 和重 中南米コーディネーター(三井物産OB)
  「在日ブラジル人子どもへの支援」
(3)三菱商事株式会社 広報部 マイケル・ラガウスキー社会貢献チームリーダー
  「三菱商事のラテンアメリカにおける社会貢献活動」

 本協会が実施する企業講演の新シリーズ「日本企業の社会貢献(CSR)」の第1回を開催しました。冒頭、司会の堀坂常務理事より、ビジネススクールの名門・ハーバードビジネススクールにおいても、経営や財務などの知識だけでなく社会の問題が重要課題として取り上げられ始めているとの、経済協力開発機構(OECD)の村上由美子東京センター所長による日本経済新聞への寄稿記事(11月7日付け「米ビジネススクールの『反省』」)が紹介され、協会として「社会貢献シリーズ」を新たに開始する狙いが説明されました。参加者は大学院・学部の学生10名を含む約40名でした。
 
•三井物産の社会貢献活動について、まず寺澤氏から①「国際交流」「教育」「環境」の3分野が重点領域であり、2015年度実績612案件のうち、この3分野が約7割を占めたこと、②寄付行為などの経済的な貢献のみならず、役職員の参画も視野に入れた能動的な社会貢献活動を目指していること、③ビジネスにおける最重点国のひとつブラジルとの関連で、児童生徒向け奨学金やNPO・ボランティア団体等の活動支援、子供の将来を考える懇談会などを実施する等、活動全般について説明があった。

•その後森氏より、③について、1990年の入管法改正以降に急増した在日ブラジル人の子供への支援策が必要となった状況説明や、教育資材の提供、奨学金供与、副教材の作成、NPO・ボランティア団体への支援、ブラジルへの帰国後も念頭においたカエル・プロジェクトの実施など具体的な内容について説明があった。在日日系人への支援が主として地方の日系人集住都市に留まっている中で、民間として協力しえる領域が少なくないことが示された。

•三菱商事の社会貢献について、ラガウスキー氏は、同社が戦前の岩崎小弥太社長時代より「所期奉公」の文言で社是のひとつに社会貢献を謳ってきことを挙げた上で、近年では1973年に社会環境室を設置、「生命」「環境」「こころ」の3つの分野を軸に社会貢献事業を本格スタートさせ、その後91年に「地球環境」「福祉」「教育」「文化・芸術」「国際交流・貢献」の5つの分野に集約、さらに最近では、”DREAM AS ONE”と冠して障害者スポーツ支援を展開しているとの経緯が説明された。リオのパラリンピックでは、広報部所属の二人の選手がラグビーで活躍したという。さらに社員によるボランティア活動を支援する社内制度MC Volunteer Activityやボランティア休暇制度、ボランティア・データベースの拡充などの状況が説明された。

 中南米では、マレーシアで宮脇昭博士(横浜国大)によって確立された潜在自然植生理に基づく宮脇方式によるブラジルでのアマゾン熱帯林再生プロジェクトを1992年にスタートさせたほか、現地パートナーとの協働案件(2016年は世界57カ国67件)の一環として、コロンビアのコーヒー生産地で小規模農家支援プロジェクトを、またブラジルではバイーア州で小規模貧困農家の自立支援事業をそれぞれ展開している。

 講演会後、参加者から、案件の取り上げ方、予算措置、協働プロジェクトのパートナー選定の苦労、CSRの広報活動や評価方法、社会貢献従事者の本業経験の有無などについて、活発な質疑応答がありました。


三井物産 寺澤社会貢献室長

国際社会貢献センター 森 コーディネーター

三菱商事 ラガウスキー社会貢献チームリーダー

会場の様子