『赤いレトロな焙煎機 -遙かなる南米大陸をめざして』 玉川 裕子 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『赤いレトロな焙煎機 -遙かなる南米大陸をめざして』 玉川 裕子


コーヒー商社に勤務したことからブラジルのクラシフィカドーラ(コーヒー鑑定士)の資格取得を思い立ち、サントスに7~8月頃開講する講習会に参加、その前後コーヒーの赤い実の夢を追った15年を、短歌の歌人でもあるところから折々に詠んだ短歌と散文で綴った歌文集。

筆者のコーヒーへの思い入れをコーヒーの味や入れ方等の種類ごとに詠んだ「カフェの逸品ものがたり」から始まり、会社を辞めてブラジルにコーヒー鑑定士の講習受講のため単身渡り勉強、さらにブラジルと日本を往来し、コーヒーの産地を訪ねて広くブラジル各地を旅し、コーヒーの研究にも勤しむまでを綴っている。普通の旅行詠とは異なり、あくまでコーヒーやコーヒー豆が主役ともいえる反私性の短歌の詠み手であるが、その歌も散文もわかりやすい。

〔桜井 敏浩〕

 

(春風社 2016年4月 164頁 1,500円+税 ISBN978-4-86110-495-4 )