【テーマ】カリブ共同体の中心メンバー ジャマイカの魅力と対日関係
【日時】2017年2月9日 15:00~16:30
【場所】米州開発銀行アジア事務所
【講師】リカード・アリコック駐日ジャマイカ大使
【来場者】37名
リカード・アリコック駐日ジャマイカ大使をお迎えし、ジャマイカの魅力と経済、対日関係について伺いました。講演の要旨は以下の通りです。(以下敬称略)
・ジャマイカは海と山、森林も多く、生物多様性の国土である。主な産業は観光、鉱業、農業で、砂糖、バナナ、コーヒーが主要な輸出品。GDPの60%以上をサービス業が占める。
・ジャマイカは1510年にスペインの植民地となった後、1655年に英国に支配された。スペイン支配下時に内陸へ逃亡した奴隷たちはマルーンと呼ばれ、奴隷制度への抵抗の先駆けとなった。1959年に英国から自治権を獲得し、1962年に独立を果たした。人口構成は、砂糖プランテーションの労働力として連れてこられたアフリカ系と、その後流入したインド系や中国系などとの多人種構成で、同じジャマイカ国民として分け隔てなく溶け合っており、ジャマイカの誇るべき特徴である。
・ジャマイカは文化面で世界的な人物を多く輩出している。スポーツでは世界最速の男ウサイン・ボルトや数々のメダルを獲得した女子短距離のマリーン・オッティらがいる。毎年、国内でハイレベルの高校生競技会を開催するなど、トップアスリート育成に取り組んでいる。
・70年代、レゲエの神様と称されるボブ・マーリーは国内にとどまらず世界中の黒人たちの活動を励まし、平等と平和のアイコンとなった。「ジンバブエ」という歌はアフリカのジンバブエ独立を後押しした。また、「バナナ・ボート」で知られる歌手ハリー・ベラフォンテは社会活動家でもあり、米国でキング牧師の公民権運動を支えた。
・トースティングやダンスホールといった音楽スタイルが、ラップやヒップホップに影響を与えた。これらの文化は、すべてジャマイカ人の自由と正義への強いコミットメントが基になっている。
・対日関係は良好で日本と国交を樹立して52年になる。国連安保理ではジャマイカのコートニー・ラトレイが議長を務め、2015年10月の安倍晋三首相のジャマイカ訪問にも貢献した。2016年2月の総選挙では野党ジャマイカ労働党が勝利し、アンドリュー・ホルネスが首相となった。
講演の後、出席者との間で活発な質疑応答があり、米国トランプ政権との関係、国内経済について、隣国キューバとの関係、地球温暖化について等、様々な質問にお答えいただいた。
アリコック駐日ジャマイカ大使
会場の様子