『モラのカラー図鑑 ~パナマの先住民アート~ 宮﨑ツヤ子コレクション』 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『モラのカラー図鑑 ~パナマの先住民アート~  宮﨑ツヤ子コレクション』


「モラ」とは、パナマのカリブ海側サンブラス(現在はクナヤラ地区)に住む先住民クナ族の女性の民族衣装のブラウスのことだが、そのブラウスに色の異なる多くの布を重ねて作ったアップリケ刺繍をも指している。その発祥は1880年頃といわれ、初めは上下続いた衣服の裾飾りだったが、次第に大きく使われるようになり、20世紀に巻きスカートが一般的になるにつれ上半身のブラウスに移って、1950~60年代に縫う技術が飛躍的に発展し、描かれるモチーフもそれまでの幾何学や抽象模様から様々な事物が取り込まれるようになって、クナ族独自の感性を表現するアートといえる魅力を持つ。

編者は1973年にJICA専門家の夫君とともにパナマに赴きモラと出会い、さらに1984~86年にもパナマ市に滞在し、クナ族と交流しモラの研究とコレクションを始め、帰国後はNHK文化センター等で講師を務めながら日本でのモラの紹介に尽力してきたモラ研究の第一人者である。

本書は、40余年にわたる編者のモラの収集と研究によるモラの植物、海の生物や船、鳥、陸の生物、天体、幾何学・抽象模様にちなむデザインのみならず、生活と信仰、キリスト教や外来の機器や文化、政党マーク等の政治、楽器・子ども・サーカスや絵本など、モラのモチーフはどこにでもあることを、膨大なコレクションを整理・分類した1,800枚のカラー写真で紹介している。それぞれの写真には、英語タイトルと日本語の説明が付されていて、今後とも容易には作れないモラ研究の貴重な資料集である。

〔桜井 敏浩〕

(宮﨑 ツヤ子 ・丸地 貞夫 ・宮﨑 理絵 パレード発行 星雲社発売 2017年1月 239頁 8,000円+税 ISBN987-4-434-22760-8 )