連載レポート6:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第5回)ニカラグア国旗 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート6:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第5回)ニカラグア国旗


連載レポート6

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議

(第5回)ニカラグア国旗

執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)

はじめに

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第5回はニカラグア共和国国旗の不思議である。

1.ニカラグア国旗


図1 現在のニカラグア国旗
出所: https://www.lavozdelsandinismo.com/simbolos-patrios-nicaragua/

1-1.ニカラグア国旗の根拠法

1908年9月5日制定の法令が現国旗の基本法であり、1971年8月27日公報にて改定法令
第1908号が発布された。
国家シンボルの特徴と使用法
第一条 国家シンボル(略)
第二条 共和国国旗
 国旗は国家エンブレムである。三色均等平行帯(横三分割旗)から成る。真ん中が白、上部
と下部が青から成る。白の帯の中央には国章を配する。国旗の形状は縦(3):横(5)の
比率になる長方形とする。この比率を維持されていれば掲揚される場所によって大きさは
種々可能とする。青の色は『コバルトブルー』で知られる配色となる。
    青は正義、忠誠を表し、白は純潔、廉潔を表す。
第三条 国家のエンブレム、代表として ニカラグア国旗は敬意・栄誉礼を捧げない。
第四条 国旗に対しうる公式敬意は21発の祝砲によって下記式典にて行われる。
a) ニカラグア独立日式典
b) 共和国大統領就任式典
c) 国会の開会・閉会における式典
d) 行政府による式典
第五条 国旗は朝6時に掲揚され夕方6時に降揚される。
第六条 国旗は毎日大統領府、共和国のすべての宿営地にて厳粛に掲揚される。

1-2.ニカラグア旗の歴史

国旗の日:7月14日

図2ニカラグア国旗の変遷

1-3.ニカラグア国旗の色

ニカラグアの国旗の色は「コバルトブルー」の名前の指定がある。
青は正義、忠誠を表し、白は純潔、廉潔を表す。

1-4. ニカラグア国旗・国章に見る三角形とフリジア帽

1971年8月27日付政令1908号 第四章 国章について
第四十二条 1908年法令により定める。
二つの要素:外側と中心部 

・外側に円を描く標語を大文字金字『ニカラグア共和国、中米』ニカラグア共和国は三角形の上部に左右対称に配置。中米は下部に左右対称に配置(左から右へ)

・中央に金字の正三角形。水平大陸の地峡、両端は三角形に接し、『両大海に接する』とし、その大陸には左から連なる高さを同じくする5つの休火山の連峰。

ひとつの大海は地峡と三角の底の間に、もう一つは奥の地峡はるか水平線に見える。連続した泡の波、規則正しく左右に波打つ姿を表す。水平線には火山の頂点を覆う
ごとく七色の虹。外から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫。色の帯は半弧とし、その真ん中は水平線のど真ん中に。内側三色帯は下方に組み込まれるが、外の四色帯は三角の
斜線側に遮す。虹と水平線の間と三角形の中心軸に『自由のフリジア帽』を配する。

横向きで(帽子の)右が縦折れ、耳当ては垂れ下がる様に。中央点から発する直線の散乱する様の『光の帯』が天空の青の上に広がっていく。その光の帯は虹には重ならず、虹は光を遮断する。

フリジア帽について

エルサルバドルの国旗・国章に見たフリジア帽がこのニカラグア国旗にも見える。 
世界一有名なフリジア帽を被った女性は誰であるか、ご存知だろうか。

図4の絵を見て頂く、これはフランス革命後の1830年の7月革命の時にウジェーヌ・ドラクロワの描いた「民衆を導く自由の女神」である。誰もが一度は目にしているはずである。

銃剣つきマスケット銃を左手に持ちフランス国旗を目印に右手で掲げ民衆を導く果敢な女性は、フランスのシンボルであるマリアンヌの姿であり、彼女の頭にはフリジア帽が見える。フリージア帽は自由の象徴である。