連載レポート9:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第8回)ベリーズ国旗 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載レポート9:ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議 (第8回)ベリーズ国旗


連載レポート9

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議

(第8回)ベリーズ国旗

執筆者:西岡勝樹(日本旗章学協会会員)

はじめに

ラテンアメリカ諸国の国旗に見る不思議の第8回はベリーズ共和国国旗の不思議である。

1.ベリーズ国旗


図1 現在のベリーズ国旗
出所: http://bnlsis.ict.gov.bz/national-symbols/

1-1.ベリーズ国旗の根拠法

かつての英領ホンジュラス(現ベリーゼ)は1981年英連邦領から独立した。

1981年9月21日国旗もこの時に制定されるが、 二大政党であったPeople’s United Party (PUP) が党旗を基に青地に国章を配する国旗を提案した。それに対し、The United Democratic Party (UDP)は国旗としては別案を提出はしなかった。しかし、国民に是非を訴えた。結果下記と決まった。

ロイヤルブルーに上部と下部に 赤い平行線(ストライプ)を配する。
国旗中央に白い円に国章を配する。

赤、白、青のベリーズ国旗が国民の結合のシンボルとなった。

1-2.ベリーズ旗の歴史

国旗の日 3月9日

ベリーズに遺産を寄贈したイギリス人・ヘンリー・ブリス男爵の1926年の忌日、その日が国旗の日でもある。


図2 ベリーズ国旗の変遷

1-3.ベリーズ国旗の色

青は政党 人民連合党の色である。赤は政党 連合民主党の色である。
青色はロイヤルブルーとしている。イギリス王室の色であるという。

ロイヤルブルー

ロイヤルブルーは、【royal blue】色名の一つ。

古代ローマ帝政の時代から高貴な地位の象徴といわれた紫みの濃い青。紫みが加わり、青に深みが出ることで高貴なイメージになっている。ロイヤルパープルとともにイギリス王室が用いる色。イギリスではキングズブルーとも呼ばれる。日本でも衣料品、寝具、宝飾品、ガラス製品、釣り具、万年筆のインク、ビデオカメラなど、幅広い分野で用いられている。

出所:http://kotobank.jp/word/

1-4. ベリーズ国旗の二つの星

ベリーゼ国旗の中に配されている国章は特徴的である。

べリーゼ国章の詳細

『3つの部分から成り立つ盾。縦の方向、V字の形による。その盾のベースは帆を全開にした船、上部二つの部分にはベリーズの材木業の道具を表す。盾右部は櫂、四角斧を、左側にはのこぎりと斧が表されている。その盾を二人の木こりが支えている。(白人と黒人)ひとりは盾右側に斧を右手で肩に担いでいる。もうひとりは左手に櫂を左肩に担いでいる。盾の上にはマホガニーの木が立ち、その下には標語のリボン。葉の輪(50枚、独立運動開始の年1950年にちなむ)盾の回りを囲む。国章はベリーゼの歴史にとって重要な面を持っている。マホガニー木材は18,19世紀の経済の基礎を為していた。

国の標語は『木影の元で栄える』というラテン語の標語である。マホガニーの材木業と船の造船業がベリーゼの経済を支えていたことがうかがえる。もう一つの特徴は 白人と黒人の人物が描かれているということ。』
べリーズ国旗の不思議はその国章にある。木材と造船で国の基礎がなったことにちなみ櫂(オール)とのこぎりと斧をその象徴とする。その二つの象徴を持つのは白人と黒人。人種間の平等を表しているのだろう。人をモチーフにした国旗は案外少ない。また、ブラジル国旗、同様に国のモット―が国旗にあるのも珍しい。

図3 ベリーゼ国章
出所:https://belize.com/belize-flag/