『エクソダス -アメリカ国境の狂気と祈り』 村山 祐介 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『エクソダス -アメリカ国境の狂気と祈り』  村山 祐介


 著者は朝日新聞ワシントン駐在員であった当時、米国へ向かう移民を取材し、以後もずっとメキシコから米国に移住を試みる人たちを見てきた。米・メキシコ国境の「トランプの壁」で隔てられ引き裂かれた家族を見たサンディエゴ、砂漠と川を挟んでの移民と自警団の攻防のノガレス、貨物列車の屋根に乗って北を目指すメキシコの「野獣」と呼ばれる列車に飛び乗るラパトトロナでの光景、米国への移住希望者を多数出し、また多くの中米等からの脱出者が通過している世界最悪の殺人率の国中米エルサルバドル、同じくギャング集団マラスの脅迫から出国を余儀なくされるホンジュラス、さらにアフリカやカリブ海諸国などからビザを必要とせずに入国できるエクアドルに入りコロンビア西北部から危険なダリエン・ギャップ(地峡)の密林地帯を徒歩でパナマに入るルートに至るまで、約3 か月をかけて約15,000km を行き来して18 か国のおよそ300 人に会って取材した、命懸けで国境を越えようとする人びとの姿を追った渾身の記録。

〔桜井 敏浩〕

(新潮社 2020年10月 340頁 1,800円+税 ISBN978-4-10-353651-2 )
〔『ラテンアメリカ時報』 2020/21年冬号(No.1433)より〕