【演題】中国語文献にみる中国、台湾、ラテンアメリカ関係
【講師】岸川 毅上智大学教授
【日時】2022年7月1日(金)16:00~17:30(日本時間)
【場所】オンライン
【参加者】28名
本講演会はラテンアメリカ・カリブ研究所が主催。岸川教授の専門は比較政治学。メキシコと台湾の政治体制が似ているという視点から今回の演題につながる研究を始める。中国については主に中国社会科学院ラテンアメリカ研究所発行の「拉丁美州研究」(隔月刊)を、台湾については主な大学の修士論文を用いて、中国および台湾とラテンアメリカの関係の特質と変遷を分析。
2000年以降の中国のラテンアメリカ研究では政治経済関係の変化(WTO加盟→「走出去」→「一帯一路」)を追い、議論(例えばWTO加盟後は、どのように自由貿易に参入するか?アンチダンピングをどのように乗り切るか?等)が成されている。また、国別研究では大国主義が見て取れる。ブラジルがダントツの一位、続いて②メキシコ、③チリ・アルゼンチン・ペルー・コロンビア。
一方、台湾にラテンアメリカの専門誌はない(マーケットが無い)。大学の修士論文のレベルが高く、執筆者の多くは外交官となる。台湾の文献は戦略的で、中国では言えないことを言っている。中国、台湾ともにラテンアメリカ研究には勢いがあり、今後日本でも「東アジアとラテンアメリカの関係」といった視点が重要になるだろう。
講演後には、中国研究者の日本、米国に対する意識、華人/華僑との関係、中国と台湾の外交競争、中国のソフトパワー、孔子学院の存在、等々について活発な質疑があった。