『日本からみた 世界の食文化 -食の多様性を受け入れる-』 鈴木 志保子編著 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『日本からみた 世界の食文化 -食の多様性を受け入れる-』  鈴木 志保子編著


 「第Ⅰ章 日本の食文化」に続けて「第Ⅱ章 世界の食文化」の中で中東、欧州、アフリカとともに中南米編では7か国を取り上げ、「第Ⅲ章 思想・宗教、これからの食事・食生活」で構成されている食文化についての広範かつ多岐にわたるエッセイ的解説集。各国編はそれぞれの国の一般事情、食事、食法・マナー、食文化とその国の料理の基本テクニック、行事や習慣、Visit to駐日大使館/各国料理店による代表的料理の紹介を載せている。編著者は神奈川県立保健福祉大学教授で、東京オリンピック時の選手村メニューアドバイザリー委員会の副座長なども務めた。
 メキシコはトルティージャやタコス、キューバは煮込み料理アヒアコなど、ジャマイカは焚き木の上で肉や海産物を焼くジャーク調理、ドミニカ共和国は伝統料理サンコチョ等、ブラジルは焼肉シュハスコと豆煮込み料理フェジョアーダや重さで料金を払うブッフェ形式のポルキロ、ペルーは海産物のマリネであるセビーチェ等の料理と唐辛子やアンデス高地の穀物キヌアなどの食材、チリは南米各地でも食べられているミートパイのエンパナーダなどを写真とともに載せていて、関心のある国を拾い読みするだけでも実に楽しい。

〔桜井 敏浩〕

(第一出版 2021年11月 302頁 3,500円+税 ISBN978-4-8041-1440-8)
〔『ラテンアメリカ時報』 2022年 秋号(No.1440)より〕