アンデス文明研究会編『チャスキ Chaski』33号 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

アンデス文明研究会編『チャスキ Chaski』33号


市井のアンデス、メソアメリカ文明の勉強会である「アンデス文明研究会」( https://andesken.jimdofree.com/)は、1994年以来すでに12年にわたって、日本の第一線のアンデス、マヤ、アステカ考古学・歴史学の研究者を招いて、年間9回の定例講座と数回の特別講座を主催しているが、その会報(6月と12月の年2回発行)が、この6月発行号から市販されることになった。

会員のための会報であるとともに、研究者と一般の考古学ファンとの間を仲立ちして、アンデス、メソアメリカ文明研究の裾野を拡げる役割を担いたいという編集方針どおり、本号では近年のアンデス考古学で特筆されるべき大発見である、ペルー北部のワカ・パルティーダ神殿遺跡での巨大なジャガーのレリーフ発見のいきさつ秘話、インカ帝国がエクアドル北部からチリ中部に至る全領土に張り巡らしたインカの王道といわれる道路跡を、ペルー北部で踏破した記録、リマ郊外の一大宗教センターであったパチャカマク大神殿前の墓地の発掘調査で明らかになりつつある先植民地期の人々の死者に対する考え方など、若手研究者の調査報告5編も収録されていて、最新の考古学研究の現場の息吹を感じさせる。[桜井 敏浩]

(原人舎発行  96頁 2006年6月  1,000円+税)

(『ラテンアメリカ時報』 2006年夏季号掲載 (社)ラテン・アメリカ協会発行)