ラテン音楽といっても、北はメキシコ、カリブ海から南はアルゼンチンまで広大な地域にきわめて幅広い形態の音楽があり、その境界もあいまいだが、それらの中からラテン音楽の発祥地キューバ、メスティーソ(混血)文明のメキシコ、港町から生まれた都市音楽であるアルゼンチン・タンゴ、情熱とサウダージの響きブラジルのサンバとボサノヴァ、そしてラテン音楽の中心といってもよいカリブ海の音楽を取り上げている。
これら5章の音楽の発祥、歴史的な変遷、偉大な作詞家、作曲家、演奏家たちやエピソードなど、著者の長年のラテン音楽との深い関わりで蓄積した“雑学”が楽しく、ふんだんに盛られている。それぞれの章の終わりに、その音楽を味わいたいならこの2枚と、著者推薦のCDも挙げられている。
(ヤマハミュージックメディア223頁2007年11月 1600円+税)