クスコ在住10年余の著者は、アンデス民族の祝祭空間に魅せられて、ペルー各地の山村の祭りに果敢に入り込んで行く。インカ帝国の栄華を再現するクスコ近郊の太陽の祭りインティライミやティティカカ湖畔プーノのインカ帝国誕生の祭り、アンデス高山の氷河に登って来光を待つコイヨリッティの巡礼祭、殴り合いあるいは投石合戦で血を流す痛い祭り、死者の日にお化けの仮装が練り歩く祭り、牛の背に括りつけられたコンドルとの闘牛祭りなどなどのペルー各地の祭り、結婚式や村人総出の吊り橋を架け替えや毛刈るための野生ビクーニャ追いなどの祭り的な共同社会の催しが、美しいカラー写真で次々に繰り広げられる。
臨場感あふれる写真は撮った位置や被写体の人々の祭りに熱狂し活き活きとした表情から、余所者である筆者だが村人に受け入れられ信頼関係にあることがありありと判る。前書『アンデス奇祭紀行』(青弓社 2002年)に続く、実に楽しい一冊。
(千早書房94頁 2008年2月1500円+税)