植民地時代、帝政期、20世紀前半、第二次世界大戦後は1995年の日本ブラジル修交100周年と96年のカルドーゾ大統領の国賓としての訪日、90年の入管法改正以降の日系ブラジル人の出稼ぎ増加までのブラジルの歴史であった旧版に、今回新たに「21世紀のブラジル」の章が付け加えられ、労働者党(PT)政権の登場、ルセーフPT政権の退場に至るまでを簡明に紹介している。2003年のルーラPT政権の発足を、それに続くアルゼンチンのキルチネル、ボリビアのエボ・モラエス等の左派の大統領当選とともに「ピンクの波」の一環として、ルセーフ大統領弾劾後に大統領代行に就いたテメル政権とボルソナーロの大統領当選を「ピンクの波」の終焉として捉えている。
本書は2000年に刊行された『新版 世界各国史』のラテン・アメリカ史Ⅱのブラジル部分(山田睦男元国立民族学博物館教授執筆)を、鈴木茂東京外語大名誉教授が加筆修正し共著としたもの。コンパクトに簡明にまとまったブラジル通史。
〔桜井 敏浩〕
(山川出版社 2022年10月 228頁 1,300円+税 ISBN978-4-634-42391-6)
〔『ラテンアメリカ時報』 2022/23年冬号(No.1441)より〕