『チャスキ』 38号 アンデス文明研究会編 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『チャスキ』 38号 アンデス文明研究会編


活動歴15年になる市井のアンデス、メソアメリカ文明同好会の会報誌(市販)。今号から発行所が替わり、誌面も全面一新して読みやすく、内容が一層充実したばかりでなく、あか抜けしたものに変身した。(旧体裁版での紹介は、本「図書案内」の最下段を参照)

この会の顧問である関 雄二国立民族学博物館教授による巻頭エッセィに始まり、専門研究者による調査と発掘報告が「ポリネシアとアメリカ大陸」(印東道子 民博教授)、「アンデス文明の起源を求めて—日本アンデス考古学調査50周年記念シンポジウムより」(関 雄二教授)、「カハマルカにおける中期ホライズンの調査」(渡部森哉南山大学講師)の3本。会員の調査研究は、コロンビアの古代黄金文化、カラクルム遺跡訪問記、アンデス染織技法にみる独創性の3本、いずれもアマチュアにしてはレベルが高いレポートである。その他加藤泰建埼玉大学教授へのインタビュー「日本人のアンデス調査50年をふり返る」は、これまでの日本のアンデス考古学調査の中心になっていた東京大学系の活動を回顧していており、毎月の定例講座の概要、アンデス関係図書紹介もあって、学会誌に準ずる濃い内容であるが、寄稿者の研究成果が多岐にわたっていて、アンデス、メソアメリカ古代文明に少しでも関心がある読者には興味をそそる。

(年2回発行: アム・プロモーション 2008年12月31頁1000円+税。アンデス文明研究会のWebサイトは、http://www.h6.dion.ne.jp/~andes/)