北米の視点から中南米を、中南米の視点から北米を、南北アメリカの政治・経済・文化・歴史等を比較研究するという趣旨で同大学に設けられ10年を迎えるが、本書は学外の研究者の寄稿も含めた単行本版論集。
アメリカス世界の中で、米国の“帝国”としての諸相を「セオダー・ルーズヴェルトとアラモ」(島田眞杉京都大教授)から始まり、「ブラジル帝国の建国と記憶のかたち」(金七紀男)、「メシカの年次祝祭における支配原理の表出」(山本匡史)ほかの歴史、「反米・反帝国主義者チャベス大統領の歴史認識」(野口茂)や「<帝国>と宗教—ブラジル・プロテスタント教会の成長戦略」(山田政信)などの現在に至る論考が12編、「国際的労働力の移動—資本主義世界経済における周辺国としてのブラジル」(矢持善和)や「マリアノ・アスエラのメキシコ革命小説『虐げられし人々』を再読する」(片倉充造)など、6編の南北アメリカの歴史、経済、政治、言語、文化、芸術等の論考を収録している。
(天理大学出版部発行 むさし書房発売 283頁 2005年11月 2100円+税)