1980年代半ばから2006年に至る間に日本企業の経営・生産システムの国際移動の研究と現地調査を重ねてきた研究グループが「適用・適応のハイブリッド」モデルによる、2000〜06年の間に行ったメキシコ、ブラジル、アルゼンチンでの製造業工場とベネズエラでの帝国石油の石油開発事業の現地調査結果から、日本式経営がどのように導入されているか? アジア等他地域での日本企業経営と何が異なるか?などを、14人の経営・企業等研究者が分析している。
日本型生産システムの適用度を、作業組織とその管理運営、生産管理、部品調達、参画意識、労使関係、親−子会社関係の6項23の視点から評点を出し、これまで調査してきた世界での平均、アジアや欧米での数値とラテンアメリカの平均を比較し、各論としてメキシコ、ブラジル、アルゼンチンの国別日系工場の特徴を挙げ、自動車産業についてはトヨタ(ブラジル、アルゼンチン、メキシコ)、日産(メキシコ)、ホンダ(ブラジルの二輪・四輪、メキシコ)、デンソーを、電機では東芝(ブラジル)と三洋電機(アルゼンチン)のケース分析を行っており、ブラジル等では欧米企業の新しい生産戦略も紹介している。
(中央経済社 2009年3月 269頁 3200円+税)
『ラテンアメリカ時報』2009年秋号(No.1388)より