【演題】ブラジル農業の可能性と食料安全保障について
【講師】加藤 茂治氏 豊田通商株式会社 食料・生活産業本部COO
(4月より南米局総支配人としてサンパウロに赴任予定)
【日時】2023年3月28日(火)10:00~11:30(日本時間)
【場所】オンライン
【参加者】67名
講演ではまず、ラテンアメリカ協会理事である山岸氏から豊田通商のブラジルでのビジネスの歴史が1930年代に遡ること、そしてブラジルを含むラテンアメリカ地域における同社の多様なビジネス展開の紹介があった。
加藤氏は、「2050年に向けて世界的な食料危機から地球を守る」という壮大な「志」(パーパス)に向けて、ブラジルで実際に「持続可能な食料生産」に取組んでいる様子を穀物集荷・販売事業であるNovaAgri社と綿実油製造販売事業であるOleos Menu社のビデオ紹介を通して示された。そしてブラジル農業の圧倒的なスケールと将来性は世界のどの国よりも勝っているが、①物流コストが高いこと、②食料とバイオ燃料のアービトラージ(価格裁定取引)の存在、の2点の課題を挙げられた。
最後に、食料自給率が極めて低い日本における食料安全保障に関して、「私見」としながらも以下の4点を提言された。①地産地消と適地適作のバランスを取る、②国際競争力のある儲かる農業の推進、③生産額ベース自給率100%を目指す、④ブラジルとの関係強化によるカロリーベース自給率に関する割り切り。
質疑応答では、セラード開発における日本の貢献、(ブラジル)農業経営者の内陸移動、南北鉄道について、食料安全保障をブラジルはどう見ているか、日系移民の存在、中国の戦略、農地開発と環境の関係、等々の質問が出され、時間の制約の中で丁寧にお答えいただいた。
<会員限定:録画・資料>加藤茂治氏 豊田通商(株)食料生活産業本部 COO「ブラジル農業の可能性と食料安全保障について」:2023年3月28日(水)10:00~11:30(日本時間)