2015年に国連総会で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」は17の目標の実現を提起しているが、それらの世界各地での先駆的実例からその手法や法則性を分析・抽出すべく、12人の研究者、政策立案関係者、学校の設立・運営者が、理論と現実を踏まえた具体的な手法や技術事例を取り上げ紹介している。
序章の「2030アジェンダ(SDGs)実現に向けて―世界の先駆的実例から学ぶ」と終章の本研究の要旨を整理した「人類の共通益を目指して」(いずれも浅香南山大学准教授)のほかの12章のうちラテンアメリカに関わる章は、第3章「2030アジェンダ実現に向けての法律の役割―ブラジルの事例を手がかりとして」(二宮正人サンパウロ大学法学部博士教授)、第4章「コロナ禍でのラテンアメリのSDGs と日本の関わり」(堀坂浩太郎上智大学名誉教授)、第5章「ラテンアメリカ諸国と日本の経済連携協定(EPA)―メルコスールとの EPAへの展望」(渡邊頼純関西大学教授)、第6章「SDGs実現のための日本のパートナーとしての南北アメリカ日系社会」(浅香准教授)、第7章「2030アジェンダへのモザンビークの取組とブラジル及び日本の協力」(木村元駐モザンビーク大使)、メキシコとウルグアイでの大麻解禁に言及した第8章「2030アジェンダと大麻合法化問題―日本での議論を中心に」(二村久則名古屋大学名誉教授)、第12章「ドミニカ共和国と日本―過去・現在・未来」(高田ロバート駐日ドミニカ共和国大使)と多く取り上げられ、いずれも社会・経済・環境を視野に入れ目標達成を図るために連携することが多文化共生の実現につながるであろうことを示唆している。
〔桜井 敏浩〕
(三修社 2023年3月 256頁 3,500円+税 ISBN978-4-384 -06061-4 )
〔『ラテンアメリカ時報』 2023年春号(No.1442)より〕