連載パナマ・レポート36:ルベン・ロドリゲス 2023年04月分 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載パナマ・レポート36:ルベン・ロドリゲス 2023年04月分


連載パナマ・レポート36: ルベン・ロドリゲス 2023年04月分

執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(早稲田大学法学研究科講師・パナマ共和国弁護士)

I.政府

A.選挙運動活動
 パナマ選挙法においては、総選挙に出馬する者は、第一に党内選挙で当選しなければならないという規定がある。さらに、総選挙で当選した者を除き、選挙に出馬する公務員は辞任する必要がある。そのため、与党はPRD党内の大統領候補選挙に出馬するため、2月中旬に副大統領のGabriel Carrizoは、大統領府の大臣を辞任した。また、4月16日に、Martin Torrijos元大統領(2004-2009)がPP党の支持を受け、大統領選挙に出馬すると発表した。

さらに、Ricardo Martinelli前大統領も自ら結成したRealizando Metas党(RM党)の候補として大統領選挙に出馬する。しかし、Martinelli前大統領は任期中に行われた汚職の疑いに関して様々な裁判を受け、有罪判決が下された場合、大統領選挙に出馬する資格を失う可能性がある。José Blandon元パナマ市長とMartinelli政権においてRomulo Roux元外務大臣も大統領選挙に候補者として出馬すると発表している。

B.所有権取消法案

パナマ国会では、麻薬取引によって取得された財産の所有者取消に関する法案についての議論が行われている。法案は弁護士、国会議員、民間企業、国民の代表によって構成された委員会により作成され、国会に提供された。最も注目されている点の一つは、取消権限担当機関である。法案においては、取消手続きおよび決定は、行政機関が担当すべきという立場をとっているが、Pino安全保障大臣は刑事管轄内に置くべきという意見を示している。

パナマ弁護士連合会においては、法律の乱用によって個人財産が奪われる恐れがあるため反対する声が多い。また、所有権が取消される可能性がある国となると外資誘致に悪影響があるという見解が示されている。所有権取消法は、アメリカ、コロンビア、メキシコにも採用され、国連もモデル法も作成している。

II.経済

A.コンテナ取扱量

 2023年1月から3月の間、パナマの港におけるコンテナ取扱量は197万4864 TEUとなり、前年同期比0.95%減少したことが判明した。大西洋にあるManzanillo港およびCristobal港はそれぞれ62万5893 TEU(前年同期比6.19%減)と20万8122 TEU(前年同期比4%増)を取扱った。これに対して太平洋のBalboa港とPanama International Terminal港におけるコンテナ取扱量は、52万2589 TEU(前年同期比0.59%減)と27万4757 TEU(前年同期比1.57%減)となった。

Ⅲ.外交

A. インド外務大臣訪問

 4月24日に、ジャイシャンカル・インド外務大臣がパナマを訪問した。両国の60年間外交関係においては初めての公式訪問となりコルティソ大統領と貿易交流、および技術交換について面談を行った。特に、インドの医薬品産業と連携し、パナマでインド産の薬品を販売する可能性についても検討されている。1月にパナマTewany外務大臣は、インドで行われた国際大会に参加し、政府および民間企業の代表と面会した。