講演会報告:荻原 淳史NTTデータブラジル ディレクター「急速に進む中南米のDXへの取り組み」:2023年4月21日(金) - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会報告:荻原 淳史NTTデータブラジル ディレクター「急速に進む中南米のDXへの取り組み」:2023年4月21日(金)


【演題】急速に進む中南米のDXへの取り組み
【講師】荻原 淳史氏 NTTデータブラジル ディレクター
【日時】4月21日(金)AM10:00~11:30(日本時間)
【場所】オンライン
【参加者】33名

 荻原氏は昨年よりブラジル勤務。NTT DATAは中南米で約2万人を雇用、売上5億ドル超。日本からの出向者は荻原氏一人。

 NTT DATAは2000年代後半、主にM&Aによって海外事業を拡大。2022年10月に海外事業強化のために設立されたNTT DATA Inc.が2014年にスペインのeveris社を買収したことから中南米市場での事業を拡大してきた。

 中南米のIT、DX市場を日本と比べると、①市場規模は小さいが成長率が高い、②ビジネスアジリティ、人材の面で日本に勝る(荻原氏は日本には人材は居るが採用や育成の体制が整っていないと指摘)。中南米のIT人材不足はコロナでリモートワークが進む中で、言語の障害が少ないこともあって、多くが欧米に向かった。

 中南米ではDXのアイディアから市場展開までの時間をできるだけ短くすることが重要であり、約10週間程度となっている。地方にデジタル開発センター(デジタルラボ)を置き、人材の確保・定着を図っている。中南米での取組事例として、①RPA(robotic process automation)分野(85%の作業時間を削減、年間2000時間の業務を削減、等)、②Private 5G(鉱山や農場での活用)、③Metaverse/N.Verse(今後の成長分野:メンテナンス、建設等の分野)、の3分野を挙げられた。

 講演後の質疑では、NTT DATAの収益に占める中南米の割合、中国の華為と比較しての日本のIT企業の強み、経済・社会格差の大きな中南米における格差是正のためのIT技術、中南米の速いIT化に対して日本は置いてゆかれるのではないか、スタートアップに対するIDBとJICAの支援について、日系人・日系社会の活用、多言語対応について、アイディア導入から市場展開までの短期間化による失敗例はあるか、等多くの質問が出され、荻原氏からは丁寧なお答えがあった。なお、説明資料は当協会のホームページに掲載するので参照されたい。


<会員限定:録画・資料>荻原 淳史NTTデータブラジル ディレクター「急速に進む中南米のDXへの取り組み」:2023年4月21日(金)