ブラジル人ジャーナリストで1970年代の先住民の目覚めによって発動された運動に重要な役割を演じた人権活動や環境保護の活動家、現代ブラジルの思想家の一人として知られている著者による講演録等を翻訳、編集した日本語で初めて紹介された論集。「世界の終わりを先延ばしするためのアイディア」は、での講演、「夢と大地について」は。2017年5月にリスボンで開催されたEUのプログラムの一環2009年に「アメリカ大陸先住民展」のプレイベントとしてリスボン大学での講演、「夢と大地について」は2017年にリスボンでEUのプログラムの一つ「先住民にまつわる諸問題-生態学・地球・アメリカ先住民の智恵」の催しにおいて行われた講演、「私たちが自称する人類」は、2017年リスボンでの舞踏カンファレンス」のカタログ用に制作されたテキストの3本を収録している。「私たちは本当に同じ人類なのだろうか?」と読者に問い、手段である物を目的に変えて尺度計る人類の考え方、自らの生活様式を拡散しアイウトン・クレナッキて地球の終わりを早めていることから、それを先延ばし出来るか?は別の生活様式、「地球と不可分な生活様式、「人類」についての別な生活様式次第ですと説いている。
個々の事項についての訳注と本書の背景となるブラジルと先住民の略史、とりわけかつて南東部大西洋岸に住んでいた者がその生き残りの一人であるクレナッキ族等の先住民に悲惨な歴史と著者の活動家に至る経緯などについての訳者あとがきが本書の理解を助ける。
〔桜井 敏浩〕
(アイウトン・クレナッキ 国安真奈訳 中央公論新社 2022年4月 88頁 1,600円+税 ISBN978-4-12-005532-4)