『ブラジルの人種的不平等-多人種国家における偏見と差別の構造』 エドワード・E・テルズ - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『ブラジルの人種的不平等-多人種国家における偏見と差別の構造』 エドワード・E・テルズ


伊藤明仁・富野幹雄訳

近年の研究で米国等の同じ移民国家と比較して、人種差別はないといわれてきたブラジルでも、いろいろな形で人種問題を抱えていることが明らかになってきた。

米国プリンストン大学教授で、サンパウロ州立カンピーナス大学、バイア連邦大学で研究したこともある社会学者が、米国の人種問題の構造と比較しながらブラジルの人種問題の特質を分析している。白人至上主義から人種民主主義、人種民主主義からアファーマティヴ・アクション(積極的差別是正措置)の構築への推移、人種の分類、人種的不平等と発展、人種差別について論じ、異人種間の婚姻、居住地の分離という現代社会が抱える問題を指摘して、ブラジルの人種関係の再検討を行った後に、差別問題解決のために適切な政策立案を提言している。

(明石書店 2011年1月 452頁 5200円+税)

『ラテンアメリカ時報』2011年春号(No.1394)より