2009年1月に同じ出版社から出た単行本の文庫版。1967年10月9日に、ゲリラ活動をしていたボリビア東部の密林地帯の寒村で、政府軍に包囲され負傷し捕虜となった後射殺されたチェ・ゲバラの最期の日々を、著者が主演した2007年2月放送のNHK BSハイビジョンのドキュメンタリー『チェ・ゲバラ−遙かな旅』での取材、インタビューを核に、アルベルト・グラナドス(1951年にオートバイでゲバラと南米一周旅行をした親友)、フィデル・カストロ、アレイダ・ゲバラ(キューバ革命の半年後再婚した妻)とのインタビューを交えて、多角的に纏めている。
ゲバラの遺体に触れ、軍の発表した前日の戦闘での戦傷死ではないことを見抜いたジャーナリストや(本図書案内でも紹介した『チェ・ゲバラ 最後の真実』の著者レヒナルド・ウスタリス・アルセhttp://www.latin-america.jp/modules/bluesbb/thread.php?thr=388&sty=1&num=l50 )、最後の食事を運んだ村の少女などの証言を交えて、なぜ殺害されたのか、30年に渡り遺体の在りかを隠蔽されなければならなかったのかなどの真実に迫っている。
〔桜井 敏浩〕
(集英社(文庫) 2012年1月 254頁 495円+税)