独立200周年を記念したブラジル文化普及プロジェクトの一環として水声社と駐日ブラジル大使館のパートナーシップのもとに、京都外国語大学の学内共同研究「ブラジル短編小説アンソロジーを編む研究の成果でもある、未邦訳の文学作品5タイトルを紹介した「ブラジル現代文学コレクション」(武田千香編)の最新刊。底本は2003年と13年に刊行された。
アニーバル・マシャード(1894~1964年。ミナスジェライス州生まれ)、ジェズエ・モンテロ(1917~2006年。マラニョン州)、リジア・ファグンジス・テーリス(1923~2022年。サンパウロ州)、オリージェネス・レッサ(1903~86年。サンパウロ州)、ハケウ・ジ・ケイロス(1910~2003年。セアラ州)、マルケス・ヘベーロ(1907~73年。リオデジャネイロ市)の6人の作家の短編を各2編ずつ訳出している。
20世紀のブラジル(当時の首都はリオデジャネイロ)社会様相、家族、子ども、恋愛、結婚、嫉妬、死などを取り上げた12本の傑作短編は、そこから人種や階級といったブラジル社会が抱えている問題を描いている。
〔桜井 敏浩〕
(伊藤秋仁+神谷加奈子+岐部雅之+平田恵津子+フェリッペ・モッタ訳 水声社 2023年3月 211頁 2,000円+税 ISBN978-4-8010-0721-5)
〔『ラテンアメリカ時報』 2023年夏号(No.1443)より〕