ボリビアといえば、錫などの鉱物に近年生産量が伸びてきた天然ガス、さらには 次世代電池材料として世界が注目するリチウム資源、広大な低地での大豆等の農牧産業と潜在力が大きな国だが、依然南米の最貧国の一つから脱しえない。2005 年 12 月の選挙で初の先住民出身のエボ・モラレスが大統領に当選し、ベネズエラの故チャベス大統領の盟友として、資源の国有化と反米的言動で世界の注目を集 めたが、“黄金の椅子に座っている”と揶揄されていながら、なぜ国民は貧しいの か? なぜ経済発展が進まないのか?そもそもボリビアとはどういう国かを知る上 で、その姿を歴史、政治、経済、音楽、旅行、トレッキング、その他暮らしの風景、 文化、芸術、食べ物、フォルクローレ・民俗楽器、観光案内などから、アンデス高地が国土の 30%を占めるため旅行者への高度順化等旅の注意に至るまで、73 の テーマについて、識者・専門家が分かりやすく解説している。
本書は、2005 年に出版されたものの第 2 版だが、ウユニ塩湖にある膨大な量 のリチウム資源、モラエス政権による「ボリビア多民族国」の始動と先住民政権の抱える民主的革命の矛盾などを加筆し、参考文献の乏しい現代のボリビアの姿に至るまでを紹介している。
(眞鍋 周三編著 明石書店 2013 年 2 月 409 頁 2000 円+税)