『天使見た街 A sedução dos anjos(写真集)』 原 芳市 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『天使見た街 A sedução dos anjos(写真集)』 原 芳市


リオデジャネイロのカーニバルに惹かれ、2004年から06年の間、毎年リオに通い、現地の人達と積極的に交流して撮った写真の中から厳選した55点のカラー写真集。

カルナバルのチームの行進の大集団の中で踊りに没頭する踊り子たちが天使に見え、エスコーラ・ジ・サンバ(サンバ学校と約すよりはサンバ連の方が適切)に入り込んで、街で出会った女たち、男たち、子供たちを写真に収めていくうちに、聖書の「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」(コリントの使徒への手紙?第4章18節)の思いになってきた、リオの街で天使に導かれていたと思うようになったという。

写真家のこういった心情に至るリオ滞在のエピソードは、巻末に6頁にわたる「あとがき」で日本語だけに留まらず、ポルトガル語、英語の全訳付きで綴られているが、書名のとおり取り上げられた写真、特に少女や踊り子を撮った写真の表情は、確かに天使を見たという書名のとおり、実によい顔をしている。

(Place M2013年8月83頁4600円+税)