「世界で最も多くの航空会社に乗った人」と自称する旅客機専門の写真家が、民間航空の勢力図から地域性や国情を読み解く写真と解説書。北米、欧州、中東アフリカ、アジア、オセアニア、日本とともに中・南米で運航する民間航空会社の概説、各社の機体の写真を、それぞれ航空会社の歴史、航空網と運用の現況、飛行機塗装の特色を簡潔に解説し、地域毎に2頁のコラムを付けている。
中・南アメリカとカリブ(22~37頁)については、地域の境界や統治形態が複雑で国内移動も他国のエアラインを使うこともあるカリブ海の多島地域、各国エアラインの衰退と巨大な多国籍グループが誕生し、南米の航空自由化と格安エアラインが発展している現況、旧宗主国と移民の玄関口である米国のマイアミを結ぶライン網、日本から移民の多い中南米への路線の歴史と展望を概説し、35の国・地域の国際線を主力とする大手から小さな島々を結ぶ小規模エアラインに至る32社の機種の写真と解説、多国籍グループのLANTAMとアビアンカのルーツたち、その他の中南米系エアラインをコラムで説明している。
中南米に割かれたページ数は少ないが、この地域に旅行・出張した際に利用し、これから乗るかもしれないエアラインの全貌の概要を知る上で有用な情報が得られる。
〔桜井 敏浩〕
(イカロス出版 2023年2月 144頁 2,000円+税 ISBN978-4-8022-1255-7 )