ロサンゼルスに住むメキシコ系労働者階級に生まれ、若い頃は服役と出所を繰り返し、社会復帰後は映画出演の機会を得て俳優となり、300本ほどの映画に出演した後プロデューサーからレストランを開いてみないかと誘われ、「じゃ店の名は“トレホス・タコス”だな」と応じた。彼は着々と開店プランを進め、母親の美味い料理を思い出し作るならメキシコ料理、それに食の好み、健康志向をもつ誰しもが満足いく料理、タコスをうりに出そうと決めた。今ではタコス店多数のほか、酒場やコーヒー・ドーナッツ店を展開するレストランオーナー、実業家となり、テレビでも活躍する有名人である。
本書は、彼の店で仕込んでいるとおりに書いたトレホス流タコス料理の基本となる食材、肉、道具の解説、タコスのサルサ、クレマ（スペイン語でクリームのことでスパイス、トウガラシ、柑橘類の絞り汁で作ったトッピング）、ブルスケットやブリトー、ワカモレ（アボガドのソース）、セヴィーチェ、フライドチキンや数種やドーナッツとデザート、マルガリータ（テキーラをベースにしたカクテル）と飲み物に至るまでのレシピを多くのカラー写真とともに紹介している。
〔桜井 敏浩〕
（加藤輝美訳 晶文社 2023年10月 224頁 3,200円＋税 isbn978-4-7949-7392-4 ）
