日本・東アジア経済史研究者で京都大学・福井県立大学名誉教授の著者が、1990年にエル・コレヒオ・デ・メヒコ(メキシコ大学院大学)で日本経済史の講義に招かれ、3月27日から4月13日に福岡に戻るまでの18日間のメキシコ旅行の回想録。
当時のメキシコはPRI(制度的革命党)のサリーナス大統領の下で米国政府の圧力で保護主義・輸入代替政策から自由主義政策推進に転換し始めた時だが、社会は格差の大きさのみならず分断されていることを都市でも農村でも感じ、治安の悪さの中で、インディヘナ解放活動家にあり、少数部族の村や農業、メキシコ日産等日系進出企業の工場を訪ねるなど、積極的に動いた結果、著者の専門である東アジアとの社会、経済、企業・農業の構造の違いを感じ、特に中小企業が数もすくなく弱いこと、小農業の発達度の小農の経営能力が低いことを痛感したという。
〔桜井 敏浩〕
(桜井書店 2023年12月 103頁 1,200円+税 ISBN978-4-910969-01-5 )