連載パナマ・レポート46:ルベン・ロドリゲス 2024年2月分 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載パナマ・レポート46:ルベン・ロドリゲス 2024年2月分


連載パナマ・レポート46:ルベン・ロドリゲス 2024年2月分

執筆者:Ruben Rodriguez Samudio(早稲田大学法学研究科講師・パナマ共和国弁護士)

I. 2024年総選挙

A. マルティネリ元大統領有罪判決

 2月2日に、パナマ最高裁判所は、マルティネリ元大統領の上告を棄却したため、パナマ国庫から約4400万ドルを利用し新聞の出版会社EPASAを買収したマネーロンダリング事件で禁固刑128か月、1900万ドルの罰金刑に処せられた有罪判決は確定した。2月22日に、マルティネリ元大統領の逮捕状は発行された。パナマ憲法第180条では、禁固5年以上の有罪判決を受けた者は大統領に当選することは禁止されているため、マルティネリ元大統領は、史上初の大統領選挙での出馬は禁止されている候補者となった。

 有罪判決確定のお知らせを受けたマルティネリ元大統領は、2月7日に、ニカラグア大使館に政治亡命を申請し、同日に認められた。ニカラグア政府が、マルティネリ元大統領がニカラグアに移動できるよう安導権を求めたが、パナマ政府が、有罪判決は、政治的犯罪に関するものではないため、申請を拒否した。さらに、パナマ政府がマルティネリ元大統領の大使館内から選挙について発言は、外交関係に関するウィーン条約の違反であると指摘している。

なお、執筆の時点では、パナマ選挙裁判所は有罪判決の通知を受けていない為、マルティネリ元大統領の選挙名簿削除まだ行われていない。しかし、憲法の定めを配慮し、2月21日に行われる予定であった大統領候補者ディベートは、26日に開催された。また、副大統領候補者であるモリノ氏、マルティネリ元大統領の代わりに出馬する予定だと発表され、パナマ選挙法の下で、10万人以上のメンバーがある政党の大統領候補者は、政党内の予備選挙で選ばなければならいとされているため、モリノ氏が出馬できるか否かが不明である。 

II.  経済

A. 政府の歳入

パナマ総税局は、2024年1月の歳入額が4億9300万ドルとなり、前年同期比2億1100万ドル増加し、国家予算で予測された金額を3.5%上回っていると公表した。また、総税局は、未払税金は3億ドル超える、脱税の177件を取り調べ中だと発表した。

 経済財政省は、2023年のGDPは7%増加し、中米で最も成長する国だと予測している。政府が、2月22日に、3億1千万ドル、2031年、2038年、2057年期限、平均金利7.79%の公債を発行した。

III. 外交

A. 日本外相との会談

2月23日に、コルティソ大統領は、上川外相と、両国のビジネス交流、外交関係、日本政府が出資しているパナマ首都圏都市交通第3号線等について会談を行った。2024年は、パナマ・日本外交関係樹立120周年記念、両国で様々な記念イベントが行われ、2024年4月1日から短期ビザの免状は発表されている。

B. 難民問題

パナマを通過し、アメリカやカナダを目指す者の急増が継続している。パナマの入国管理局によると、2023年に520,000人以上の移民が入国し、2024年1月から2月下旬にかけて、移民の人数は既に既に6万人(前年同期比2万人増加)を超えていると発表している。

パナマ政府が、移民の対応は困難であると説明し、国際支援を求めている。さらに、移民の内、ギャングやテロ組織に属している者も発見され、レイプのような犯罪が起きているため、入国管理局が前科のある者の返還を決定した。

以   上