I. 政治
A.マルティネリ元大統領の亡命
有罪判決を受けたマルティネリ元大統領の亡命によってパナマとニカラグアの関係が悪化している。2月7日に、在パナマにニカラグア大使館がマルティネリ元大統領に政治亡命を認め、パナマ政府に安導権を求めたが、パナマ政府が、有罪判決は政治的犯罪に該当しない申請を拒否した。これに対して、ニカラグア政府が、マルティネリ元大統領の亡命は人道的な理由で認められたため、パナマが政治亡命条約を違反していると述べている。
また、3月上旬にニカラグア政府が、大使館のそばにある住宅に領事館移動許可を申請した、パナマ政府が移動を否定した。パナマ外務省は外交関係に関するウィーン条約においては、大使館や領事館の移動には、接受国の許可が必要とされているため、移動が行われた場合、特権は適用されないこと、およびマルティネリ元大統領の政治的な発言は、政治亡命条約を違反しているため、ニカラグア政府に指摘している。移動は拒否されたニカラグア政府が、アプローチを変えて、今回の行動は、移動ではなく、大使館の拡張に該当するためパナマ政府の許可が不要と主張している。
II. 経済
A.パナマ運河干ばつ
エルニーニョ現象か生じている記録的な干ばつの影響が緩和している。パナマ運河局は、雨の予測を受け、3月12日に、一日当たりの通航は24隻から27隻にした。普段、パナマ運河の通航は日35-38隻とされているが、干ばつのため、2023年10月に日31隻に限られ、当時、2月に日18隻に制限する予定であったが、11月の雨が予測を超えた為、日24隻とされた。Vazques局長が6月と7月に大雨の予測があるため、更に、制限を緩和する予定があると発表している。
しかし、今回の危機によって、パナマ運河貯水池の必要性について議論が再燃させている。現在、運河の閘門の水位調整に使われる水はガトゥン湖から提供されているが、今後の50年間の運河運営には10つの貯水池が必要だと予測されているため、パナマ運河局は、新たな貯水池の建設許可を求めている。ただ、運河拡張は提案された時、影響されるコミュニティの理解を得るため、トリホス政権(2004-2009)は悪影響を最低限にする約束を交わした。そのため、2006年の法律第20号では、運河の流域が廃止され、運河局が裁量で利用できる地域が制限された。また、同年の法律8号では、運河の拡張には貯水池の建設が禁止されているため、事実上、および法的にも、運河局が貯水池を建設することができない。
以上を持って、運河局は、数年前から、干ばつの危機を受け、法律第20号前の流域にもどるよう法律の改正を求めているが、政府も国会も明確な対応をしていない。運河局が、仮に、法律の改正が行われ、すぐに新たな貯水池の建設が始まったとしても、利用できるまでは5年間かかると述べている。コルティソ政権、貯水池建設の決定は、次の政権がやるべきという姿勢をとり、3月13日に、関税制度、行政続きの簡略によって陸上運送を強化する計画を決定した。
また、5月に行われる予定の総選挙においてもかなり議論しがたいテーマとなっている。大統領選挙の候補者は、飲料水の重要性を強調し、運河の貯水池についての発言を避けている。運河の提案は採用される場合、約2000人への影響が予測されている。
通航制限によってパナマ運河の代わり、スエズ運河を利用する運送会社もあったが、近々のイエメンの反政府勢力フーシ派の船舶攻撃が継続しているため、紅海を回避する隻が増加している。さらに、メキシコ政府はパナマ運河と競争するテワンテペク地峡を通して6時間で300キロ以上走る列車建設計画を公表している。
III. 外交
A.EUの租税回避地ブラックリスト
3月14日に、EUが、租税回避地ブラックリストからパナマを削除したと公共した。パナマのブラックリストへの追加は、2022年5月に決定し、同年10月以降、パナマ政府が、ペーパーカンパニーの積極的な削除のような経済財政に関する透明性対策、および国際基準を満たすために必要な改正を行い、ヨーロッパ連合諸国の大使との会談を行っていた。
近年パナマ政府が、国際グレイリストおよびブラックリストから削除されるように活動している。2019年に融活動作業部GAFIのグレイリストに追加され、4年にわたって、GAFIが求めた対マネーロンダリングプランの15目標を達成したため、2023年10月に、パナマ政府がグレイリストから削除された。EUの租税回避地ブラックリスト削除決定において、GAFIの目標達成は評価された。
以 上