【要旨】
本レポートは、ラテンアメリカの持続可能な開発に関する議論のなかで一躍脚光を浴びるようになったインフォーマルセクター (非公式雇用部門)問題についての論考である。
第II節で「インフォーマルセクター」や「インフォーマル経済」にまつわる概念の変遷や統計上の定義の変化について説明したうえで、国際労働機関(ILO)や国際労働統計家会議(ICLS)、ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)、経済協力開発機構 (OECD)などの国際組織によるラテンアメリカの非公式雇用部門の推計規模を比較分析する。
第III節では、非公式雇用化を理解するうえで極めて重要であると考えられる、①経済成長の鈍化、② 貧困・所得格差、③ジェンダー、④ 年齢、⑤ 労働者のライフサイクル、⑥ 世帯家族構成、⑦ 都市部対農村部、⑧ 教育水準、⑨ 労働生産性、⑩ 移民の受け入れ体制、などの経済社会要因に焦点を当てて、ラテンアメリカにおけるインフォーマル経済の位置づけ、その特徴と役割、課題について考察する。非公式雇用と医療保険、年金制度との関連性、その他の社会保護措置へのアクセスについても言及する。第IV節において、非公式雇用問題への対応策についてまとめる。
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ラテンアメリカ・カリブ研究所レポート ILAC2024-8 2024 年 10 月「労働人口の半数が就業するラテンアメリカのインフォーマルセクター:その動向を左右する社会経済的要因」桑山幹夫