連載エッセイ467:ピーター藤尾「チリの風」その36 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

連載エッセイ467:ピーター藤尾「チリの風」その36


連載エッセイ467

「チリの風」その36

執筆者:ピーター藤尾(在チリ、サンテイアゴ)

「 2025年3月24日ー30日」

「政治」
1)ボリッチ動向

プンタ・アレナスで国際開発銀行が国際投資会議を開きました。彼はそれに出席しました。ボリッチはその街の出身ですから、そこで何かがあれば喜んで出席します。彼の祖父が20世紀の初めにユーゴスラビアからそこに移住してきました。チリ政府から土地の寄与を受けて何もないところから始めちゃんと生き残ったのですね。さて彼はインドに飛んで明日の4月1日にインド大統領との面談があります。中国からインドに向きを変えると言う兆候ですね。

2)大統領選挙

前内務大臣のトアは第1次予選で共産党のハドゥエと争いたくないとしています。ハドゥエはベネスエラ支持でマドゥロに不正はないとしています。共産党の候補者は彼でなく労働大臣のハラが候補になりそうですが、彼女はまだ大臣職を続けています。候補になりたいなら大臣を辞職せよと言う声が野党からだけではなく与党側からも大きくなっています。新左翼も候補者が決定できません。トアも中道左派の政党の一致した応援を得られません。右は3人の候補が独自の道を歩いています。

つまり右も左も同じ陣営内での通常な協調がされないわけですね。しかし問題は大統領候補者が200名にもなりそうだと言うことです。候補者になるには3.5万人の署名が必要ですが。それを獲得するのはそれ度困難ではないと言うことが証明されています。それならそれを10倍の35万人に変更すれば候補者数は激減するのでしょう。大統領選挙だけでなく国会議員選挙でも与野党間の争いは同じことが起きるでしょうね。

漁業法

火曜日に国会前で暴力デモがありました。国会で漁業法が検討されていますが、漁師が捕獲できる魚の量を上げてくれとデモしました。それが次第に暴力化して最後は警官と衝突しました。デモ隊の中に共産党の議員がいました。テレビの番組で、その議員は彼らを助けようとしたとし、その後に、しかし暴力行為を認めるわけではないとコメントしました。そしてなんとその翌日の水曜日、マウレ州で漁師のデモ隊が警察に襲い掛かり3台の車が燃やされ、8人が負傷しました。力のあるグループですね。

「経済」

1)銅価格と為替

1ポンド4.39ドルと高値継続です。為替は1ドル946ペソと少しペソ安になりました。

コデルコ銅公社

2024年のコデルコの国庫納入額は15.3億ドルと前年より8%アップしましたが、これは銅価格の上昇が原因ですね。しかし生産量が高くコストが低かった2011年と比較すると6分の1と激減しています。チリは銅に頼っていると言う根拠ですね。

2)IPSA株式市場

金曜日は少し下がりましたが、今週も週日に7694ポイントと新記録を更新しました。プロにつられて素人が投資をするのでしょうか。さて市民の感覚ですが、2001年には17%が将来の景気は悪くなると予想していましたが、2024年にはそれが30%に上がっています。

「一般」
1)山火事

月曜日に27か所で火事が継続、3000ヘクタール以上が延焼中。火事の原因は放火の疑いが高い由。その後、気温が下がって少しは勢いが弱まっています。

2)不法移民

ボリビアとの国境から連日のように不法移民が入ってきます。不法移民ルートを案内するガイドに連れられて。しかしテレビの番組で、その費用は一人当たり200万ペソとされましたが、なぜそんな高い金を払って不法に入国するのでしょう。そのお金があれば中南米のどこの国からでも往復の航空券が買えます。そして観光客でチリに正規に入国し、その後にビザの手続きをすれば良いのでは。それが上手く行かなくても、少なくともそれなら正規の入国をしたのは間違いありませんからね。

3)世界幸福度ランク

世界ランキングが発表されました。ラテンアメリカからコスタリカとメキシコが10位以内に入っています。チリは45位でラ米内の10位でした。チリは2019年は26位でラ米内の3位でしたが、例の社会騒乱が起きてからランクを下げました。日本は55位ですから、チリはまだ日本よりマシですね。

4)インフルエンザ予防

インフルエンサがアメリカでかなり深刻な問題になっているそうですが、チリでもそれを防ぐため、病院でマスクの使用を義務付けることになりました。今まで280万人が予防接種を受けていますが、それを拡大する努力をしているとか。私は先日、その接種をしてもらいました。

5)夏時間

来週末に夏時間が終わって、自然時間に戻ります。今では朝8時ころまで薄暗いですが、それが朝7時ころまでとなるわけです。新聞に政府は夏時間の適応に関してしっかりとした方針を確認すべきと記載されました。この制度が出来て57年になりますが、いつもあやふやな運営がされています。例えば、バチェレットの時代に1年中、夏時間を使用して市民が苦しんだ?こともありました。私個人としては夏の12,1,2月に夏時間を使い3月に自然時間にしてほしいですが。その決まりをはっきりしなさいと言うのでしょうね。

6)歌手トミ・レイの死亡

今週のニュースで一番盛り上がったのは彼の死去の知らせでした。80歳でしたが、国民の間で彼を慕う風が巻き上がり、テレビのニュースもそれが続きました。

7)国勢調査

昨年行われた国勢調査の結果が発表されました。チリの人口は1843万人でした。前回の2017年の時より5%も上がっています。首都圏の人口は740万人でした。 以  上

「3月31日ー4月6日」

「政治」
1)ボリッチ動向

インド訪問を終え日曜日に帰国しました。インドの各地を訪問し観光名所を回りました。インドとチリの友好を確固たるものとしてお互いの発展に繫げたいとしました。インド滞在中にアジェンデ問題に関して「アジェンデはチリの歴史に名前を残した。彼も彼の娘もそれは継続だ」とコメントしました。不思議なのは彼のインドでの毎日の動きがテレビのニュースにほとんど出なかったことです。政府が抑えているのでしょうか?

トランプ批判

トランプの関税政策は世界に大きな影響を与えていますが、その発表が出る前からボリッチはトランプを批判しています。そして関税政策についても残念な発表だとしました。

2)大統領選挙

共産党は候補者をハラ労働大臣にしました。大臣辞任が必要ですね。新左翼はウィンテルになりました。彼は現政権に誇りを感じない、この経験を使ってもっと素晴らしい政権を作りたいとしました。新左翼は与党か野党か分かりませんね。

アジェンデ元大統領家屋の政府購入問題で憲法裁判所は野党側から訴えられた娘のイサベル・アジェンデ議員の責任を認めました。議員を辞めさせられるか辞任することになるのでしょう。アジェンデ議員は30年間、国会議員を務めていますが、もう80歳ですから。引退するのは不思議ではないです。彼女の属する社会党は同議員の辞職を認めないとしますが、どうなるか分かりません。アジェンデ批判の憲法裁判所の動きに新新左翼が絡んでいると社会党は考え、その新左翼と政府への批判をしました。つまり与党内の分裂が大きくなっています。

与党側は一致してトア前内務大臣(民主主義の党PPD)を推すはずでしたが、社会党は独自の候補者を出すような動きがあります。つまり与党側から、社会党、PPD党,共産党、新左翼、キリスト教民主党DCなど数名の候補者が出ることになりそうです。明日の月曜日に下院議長が選ばれますが、与野党内での争いが注目されています。全員一致などはないのですね。

ところで独立派から多数の大統領候補者が出ると言われますが、前チリサッカー連盟の会長も立候補したいとしています。

「経済」

1)銅価格と為替

銅価格は木曜日は1ポンド4.26ドルとそこそこでした。しかしトランプの関税政策が発表されると翌日は4.01ドルと暴落。なんでも一日としては5年ぶりの落ち方とか。そのため為替は1ドル947ペソとペソ安になっています。来週はもっと安くなると言われます。さぁ、世界関税争いが銅価格にこの後、どう影響するか見ものです。原油価格もかなり下がりましたね。これがアメリカに好影響されるとは思えませんから、世界不況への第一歩でしょう。世界中がアメリカ離れ、アメリカ外しをすることになるかも。

2)IPSA

世界中の株式市場が下落しているのにチリの株式市場は今週も木曜日に7730ポイントと歴史上の最高記録を出しました???もっとも金曜日は7554ポイントとかなり落ち込みましたが。

「一般」
1)犯罪

今月、成立した国民安全省の最初の発表ですが、それによるとは殺人事件は減少しています。2023年は10万人当たり6.3人だったのは2024年には6.0人に下がりました。もちろんこの数字を見て国民が喜んだ・落ち着いたと言う雰囲気はありませんが、少しでも良くなると言うのは大事ですね。しかしラテンアメリカ15か国の平均は20.2人で、チリは下から4番目でした。つまりほとんどの国がチリより危険と言うことになります。

2)呼吸器系の病気

気温が急に下がって来ましたが、厚生省の発表では来週からインフルエンザなどこの種の病気が急激に増えるとされています。増えるのは間違いないでしょうが、病院に収容できなくなるなどにならないでほしいですね。          以   上

「4月7日ー4月13日」
「政治」
1)ボリッチ動向

インドからチリに戻って来て最初の仕事は財務大臣との面談でした。トランプの関税アップはこれからどうなるか誰も分かりませんが、それにどう対応するか・反応するかがボリッチの最後の年の最大課題になりますね。対応委員会を作って関税が上がった後の対応策を検討しています。アメリカの政界とのコンタクトも始めた由。もっともこれはチリだけでなくて世界共通の試練ですね。それからモネダ宮殿に上院議会の正副議長を招待し話し合いました。それは議長は右翼のオサンドン、副議長は左翼のラゴスです。そのラゴスの父は元チリ大統領です。
新労働大臣の任命

前労働大臣のハラが大統領選挙に出るため辞任したのでその後任に新左翼のジョウジオ・ボカルドを任命しました。新左翼の彼は学生時代に反政府運動を派手にやっていたとか。ボリッチと同じ歴史です。その新左翼ですが、議員のカタリナ・ぺレスが政府資金の不正利用をした件で裁判になります。その例がこれからも幾つもありそうです。

イサベル・アジェンデ議員が国会を離れました。彼女は自分にエラーがあったかもしれないが、政府との合意で行っていたわけで、それを政府が認めないのは不可解だとしています。確かにそうですね。彼女の父親のアジェンデ元大統領の家を政府が購入して歴史博物館にする計画だったわけですから。政府内でもその家屋の購入案を計画・実施していた関係者の責任が問題になってきています。モネダ宮殿2階部隊と呼ばれるボリッチの側近の弁護士の名前が挙がっています。その他にイサベル・アジェンデの属する社会党は憲法裁判所の機能について疑惑があるとしています。

それからボリッチは恋人と同棲を始めたとか。その女性は出産間近です。普通の男なら良くあることですが、一国の大統領には考えられないことです。ちゃんと結婚すればよいのに。

2)下院議長

前下院議長の共産党カリオラが辞任しましたが、その後任に野党国民改革党RNのカストロが就任しました。

3)大統領選挙

野党の方は3名の候補者がそれぞれ独自の道を歩き、協調などありません。一次予選もないと言われます。本選挙に3名が出れば、与党統一候補に勝てるわけがないですね。もっとも与党の方も似たような感じで、社会党は独自の候補者を出すことになり、女性党首のボダノビッチが選ばれました。PPD党の元内務大臣トアを推さない様子、分裂がひどいですね。共産党の候補者ハラは友国キューバを応援するコメントをして与党内から民主主義が無いキューバを推すのは認めれないと言われています。

「経済」
1)銅価格と為替

トランプの新関税案発表で1ポンド3.87ドルと4ドルの大台を割りどこまで落ちるかな?と思わされましたが、金曜日は4.16ドルに戻りました。そのため為替は一時1ドル1000ペソとペソ安が大きくなりましたが、金曜日は973ペソになりました。

2)消費者物価IPC指数

3月は0.5%と高く、1-3月で2%、過去12か月で4.9%とコントロールされていません。

3)株式市場IPSA

銅価格の動きと同じです。4月3日は7719ポイントと最好調。それが8日に7163ポイントに落ち、このまま戻れないのかと心配されましたが、金曜日は7436ポイントまで戻りました。さぁこの先どうなるか誰も分かりませんね。

「一般」
1)サッカー場の混乱

これはスポーツの話ではありません。木曜日にリベルタドール杯の試合があり、コロコロはホームでブラジル代表のフォルタレサと対戦しました。コロコロのファンが球場に無料で入ろうとあちこちから、例えば近くの建物の屋根を通って、侵入し始めました、警察は放水車を使ってコントロールしようとしましたが、その車にぶつかったのか、はねられたのか二人が死亡しました。警察の責任問題にはまだなっていませんが・・・翌日、コロコロファンがその現場の近くで抗議のデモをして揉めました。デモ隊は警察のパトカーに石を投げます。政府の安全省は何をしているのかと厳しい批判が出ています。
2)インフルエンザ

今週は検査を受けた人の41%が病気にかかっていることが確認されました。5月にかけて病気の拡大が起きるらしい。

3)海難事故

南部のコロネルで2隻の船が衝突し、小柄の船の船員7名が行方不明になっています。事故からもう2週間ほど経過しましたが、まだ船員が発見されず衝突の問題点探しはもちろん、行方不明の船員探しが急務です。

4)過去の歴史

今から80年前1945年の今日(4月13日)、チリは日本に宣戦布告をしました。チリの大統領フアン・リオスはアメリカの要請(もしくは圧力で)アメリカ側についてそれまで第2次世界大戦には関与していなかったのを変え、対日戦争を宣言したわけです。その理由の一つに戦争の後、国連が設立されるとされ、チリをそのメンバーに招待するとされたらしい。その前の1940年の国勢調査で日本人は948人がチリに居住していました。そのうち691人が男性だったとか。それらの日本人の中で、その時、まだ中立を守っていたアルゼンチンに出て行ったグループがかなりいたとか。大変な人生だったでしょうね。以 上
「4月14日ー4月20日」
「政治」
1)ボリッチ動向

モネダ宮殿で新下院議長ホセ・カストロと会談をしました。そして来週にブラジル訪問が計画されています。彼は外遊が好きですね。ボリビアの水害見舞いとして 食料・衣料品などの援助物資を空軍機でラ・パスに運びました。165万人の児童の給食を見守るとして首都圏の学校を訪問して小学生の給食のお付き合いをしました。それから大統領選挙に関して、与党側に統一候補を立てて戦ってほしいとしました。

2)大統領選挙

50年前の軍事革命についてマテイは「必要な出来事だった。しかしその後の幾つもの殺人事件は起きなくても良かった」と発言しました。もちろん左翼側はその発言に反発しています。力で押さえつけ、殺人を合法化していると。彼女を推す中道右派のRN党幹部が立候補をするとして離党しました。いやはやですね。最右翼の共和党のカストとそこから分かれたカイセルはもう1年以上、話もしないとか。その若手カイセルはアルゼンチンのミレイ大統領と似ていると言われます。社会党首ボダノビッチは独自の道を歩くとしています。中道左派の社会党とPPD党がトアを推せば左翼統一が確認されますが、そこが分離したので新左翼にとって好機とされています。前回の選挙も同じことで、中道左派が分裂したので新左翼・共産党の推すボリッチが勝ったわけです。与党内では全然学習効果が無いですね。つまり右も左も統一は無く混乱が続きます。

それを何とか統一しようと与党候補者は元大統領のバチェレットの前で集会を開きました。参加者はカロリーナ・トアPPD党、パオリーナ・ボダノビッチ社会党、ジャネット・ハラ共産党、ゴンサロ・ウィンテル新左翼、ハイメ・ムレット緑社会連合でした。さぁどうなるのかな?理論は簡単です。一次予選の前は各自が独自の動きをしなさい。しかし1次予選の後はそれに勝った候補者を全力で押しましょうです。

「経済」
1)銅価格と為替

銅価格は1ポンド4.13ドルと先週とほとんど同じでした。為替は1ドル969ペソと大きな変化は無し。

2)株式市場IPSA

しかし不思議です。トランプの新関税方針で、世界中の株式市場が混乱しているのにチリの市場は今週また新記録を更新しました。7815ポイントまで上がっています。素人の私には理解できません。トランプ新関税で影響を受けるのはチリの輸出品の8.3%とか。

「一般」

1)サッカー場の事故

先週の続きですが、コロコロのサッカー場の近くでファンが二人死亡した事件で、二人とも警察の車による死亡となって来ました。まだ警官の責任か、ファンの失敗かは良く分かりません。土曜日にそのコロコロの100周年記念式が行われました。それがチリで最も人気のあるサッカーチームです。その日、コロコロファンがマイプなど市内で打ち上げ花火を上げて騒ぎました。それは法律で禁止されているのですが、警察もそのグループのコントロールが出来ません。その大騒ぎで死者1名と6名の負傷者がでています。

2)イースター

首都圏からこの週末に38万台の車が郊外に出ていきました。117人が交通違反で逮捕され(主に飲酒運転)そして6人の死亡が確認されています。

魚介類 10トン廃棄処分

イースターの時は肉でなく海産物を食べるのがチリの風習ですが、そのため今週は保健機関が魚介類の店を訪問してチェックした所多くの店で販売に適さないものが売られているのが見つかり、何と10トンも廃棄処分されました。

アルゼンチン人の来チ

昨年はチリからアルゼンチンに買い物する客が溢れましたが、それが一転して最近はアルゼンチン人がチリに買い物に来ます。イースターの週にも大量のアルゼンチン人が(金曜日に1万人)買い物を入れる大きな袋をもって来ているらしい。

さて週末にテレビでキリストに関する映画が幾つか放映されました。

キリストはパレスチナ人でしょうが、映画の彼は違います。それはカトリックがバチカンを根拠地にしてから、宣伝がしやすいようにキリストの顔をイタリア人にしたのでしょうね。マーケティングと言えるかな?若いころ、私はイスラエルに約1年住んだことがあります。そしてキリストが生まれた場所と言われるところに行ったことがあります。イスラエルではキリストの誕生日を祝わないのが不思議でした。

3)漁船の行方

もう3週間にもなりますが、大型船と衝突して行方不明になった小型漁船が見つからず、捜査は終了しました。その7名の船員の家族は捜査終了に納得できませんね。

4)大阪万博

開館が三日遅れましたが、万博のチリ館がオープンしました。マプチェのマクン織物がメインに展示されています。しかしそのニュースはチリのマスコミには出ません???

5)旅行

コロナ問題で旅行が大きく縮小しましたが、近年に回復しています。イースター島の場合、最高だった2019年は30.3万人でした。それがコロナ問題で2021年は、ほぼゼロになりました。それが少しづつ復活してきて、昨年は22.9万人になっています。今年か来年にまた新記録が出るでしょう。

6)幼稚園問題

幼稚園に入園する子供が減少し問題になっています。確かに該当児童が2019年に23.9万人だったのが2024年には19.3万人でした。さて国勢調査で2024年のチリの人口は1848万0432人でした。前回の2017年より90.6万人増加となっています。その内訳は何と3分の2は移民でした。

7)アラグアの汽車

チリで最大規模の麻薬組織ですが、ベネスエラのグループで、その政府から依頼されて反政府運動家を殺人したとされます。もちろんその他に幾つもの殺人事件を起こしています。それほど知られているグループがどうして勢力を維持しているのが不可解です。何人もそのメンバーが逮捕されていますからその勢力について詳しい情報を警察は握っているはずで、本格的に彼らの拠点を潰そうとしないのでしょう。もちろんそれ以外のグループもありますが。                           以 上
「4月21日ー4月27日」

「政治」
1)ボリッチ動向

ブラジル訪問をしました。政治・経済で両国が提携し発展を目指すとしました。しかしルラ大統領がボリッチに「政権最後の年になっているが、今までの3年間でほとんど大きな動きが無かった」とし、さらに「ピニェラ政権ではチリに大きな動きが見られた」と追加されると発言の仕方を忘れてしまい、顔だけがアチコチ動いたとか???その他にブラジルの大学で学生に向けて講演をしています。その後、チリに戻って来ました。

日曜日に、警察軍の創立98年記念式典が行われました。ボリッチはそれに関して「警察軍の尽力・努力に感謝する。チリの安定した発展のためには警察の力が不可欠だ」としました。数年前の社会騒乱の時、チリの警察は市民をいじめる・殺すのが仕事かと怒り狂って警察を非難していたグループのトップがボリッチだったのですが、位置が変わると全く逆のことを言うのですね。

ローマ法王の死去

月曜日はチリのニュースは法王の死去のニュースばかりでした。ボリッチの決定で3日間チリでも彼の冥福を祈る追悼のため各種の動きを抑えることになりました。ボリッチはローマに行きませんでしたが、外務大臣などのチリ政府団はその葬式に参加しました。

しかし法王がチリに来た時、2018年のバチェレットの時代でしたが、三日間の滞在で、あまり盛り上がりませんでした。例えばイキケのミサで、100万人が集まると予想して郊外の大きな場所を確保したのに,来たのは10万人でした。その頃神父の年少児に対する性的暴行事件が問題になっていました。チリだけでなく世界的でしたが、それを記者から問い合わされると彼は怒って、「証拠をもって言ってこい。推定で質問するなこの野郎」という類の回答をしました。
2)大統領選挙

11月の本選挙までまだ時間はありますが、予備選挙は近づいています。しかし与党も野党も分裂気味で統一の方向に向かっていません。野党側は表向きは小政府戦略です。ボリッチが新しい省を作成しましたが、野党は幾つもあるそれらの省の合併をしたいわけです。

与党の中道左派を代表する2党(社会党とPPD党)から二人の候補が出ていますが、その一人、社会党党首を候補から外し一致してPPD党のトア元内務大臣を推すべしとする声が大きくなっています。

「経済」
1)銅価格と為替

1ポンド4.25ドルと先週よりかなり良くなり、為替は1ドル938ペソとペソが強くなっています。ところで銅の先物相場は5ドルに近づいています。

トランプが新関税を発表したときは4.2ドルまで落ちたのですが、それがまた上に向って進んでいます。この見方ですが、アメリカは中国との貿易戦争に勝てないと見られているのでしょうか?中国は少なくともこれに負けずに新分野を開拓するので銅の価格は下がってはいかないとするのでしょうね。

リチウムの件ですが、コデルコとソキミチSQMが2060年まで共同してアタカマ砂漠のリチウム開発をするという件を国内経済検察FNEは認証しました。ただそのソキミチ社の24%を持つ中国資本がその件に異論があるようです。

2)株式市場

トランプ関税政策で世界中の株式市場が20%ほども下がりましたが、チリは例外です。週日8000ポイントを超えて今週また新記録を出しました。

3)物価上昇率IPC

4月のIPCは0.2-0.3%になりそうですが、事前の予想よりは下の様です。もっともその傾向が続くかどうかは疑問視されています。ボリッチは次の政権に10億ドル程度の赤字を渡すことになりそうとか。財務大臣は歯をくいしばってそれを下げる努力をするのでしょうね。彼は自分の政策と違う指示が上から来てこうなったと言い訳するかな?

中道左翼の政党を抑えて今回は新左翼と共産党が政権を握ったのですが、政治・経済共に上手く行きませんでした。ブラジルの大統領にボリッチはそう言われています。

ところでIMFの予想ではチリの今年の経済成長率は2.0%、来年は2.2%とか。

そしてムーディの発表ではチリの評価はA2と変化ないが、アメリカの新関税政策はチリの近い将来に影響を与えると予想しています。

「一般」
1)テロ法案

先週の日曜日に南部のサンタ・バルバラ地区のルカルウエ電力会社で50台の車に火がつけられ延焼した事件に関し、政府はテロ事件として取扱扱うことを決めました。そこは中国資本の会社なので、安全省の大臣はその場所に中国大使と一緒に現場視察をすることになりました。

マプチェグループ

フェデリコ・アステテ35歳。彼はマプチェ連合ラブケンチェのメンバーでビオビオ州カニェテで逮捕されました。彼はグループを率いて家屋への放火などで過去7年間で3度逮捕状が出されましたが、その度に逃走していました。

その同じカニェテで昨年起きた3人の警官殺人事件の一周忌が今週ありました。政府の安全省大臣も出席しました。マプチェの勢力が強いのですね。

テロとは全く関係ありませんが、首都圏の西部の区役所がやっている文化・スポーツのクラスで、人気のあるのが空手ですが、そのクラスに犯人が入り込み子供の前で先生を銃撃しました。先生は重傷で入院です。

首都圏で不法のカジノが見つかり警察の手が入りました。100数十台のマシンが置かれていたとか。非常に人気があったのでしょうね。その場で関連者の中国人が逮捕されました。なんと10年間もやっていたとか。今週は中国の名前が良く出てきますね。以 上