『1964年ブラジル・クーデタと民主主義体制の崩壊 -冷戦期ラテンアメリカにおける軍政の誕生』
橘 生子 花伝社発行・共栄書房発売
2025年7月 269頁 2,000円+税 ISBN974-7634-2182-1
1964年の軍事クーデタにより1985年3月の民政移管まで21年間続いた長期軍政を経験することになったのは何故か?を、民衆の政治参加に焦点を合わせて論じた著者(津田塾大学助教)の博士論文を書籍化したもの。
暴力革命の予兆がなかったにもかかわらず軍部が米国の反共政策を背景にクーデタを起こし、ゴラール大統領の農地改革などの「左派の脅威」に対応するとして共産主義ゲリラと見なした組織「イレブン」を「内敵」として不当に弾圧し、民衆の政治参加を阻もうとした。本書は、先行研究が明らかにしていなかった視点からブラジルの民主体制崩壊の要因に迫る気迫のこもった現代ブラジル政治史の研究書。
〔桜井 敏浩〕