『未知なる冒険の物語 -はじまりの旅、ラスト・リバーを探して』 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

『未知なる冒険の物語 -はじまりの旅、ラスト・リバーを探して』


文・絵:名もなき冒険家 原書編集:テディ・キーン

葉山亜由美 トゥーヴァージンズ 2024年7月 128頁 2,400円+税 ISBN978-4-86791-016-0

 

冒険仲間と奥アマゾンを旅していた編集者が地図、日記、スケッチブックが入ったトランクを見つけ、誰が遺したかは未だ判っていないが、その1960年代に始められたであろう冒険の資料を纏め「ラスト・リバーを探す旅」として刊行したのが本書であるとしている。

英王立地理学会博物館の資料室で見つけた『北アマゾンの旅 1835~1844』に挟み込まれた手書きの地図を、友人のブラジル生物研究者ビビに送ると北アマゾンの山脈の一部だというので二人でマナウスから北方へ小型機で飛び、装備・食料を準備しカヌーで川に漕ぎ出した。以後岸でキャンプしやがて川は急流になり滝でついにカヌーと荷物の大部分を失ったが降雨によって出現した「ラスト・リバー」の水源と思しき湖に到達した。しかしその秘密は日記の旅の記録に留め、ラスト・リバーを守る番人になろうと決意するに至ったとして記述は終わっている。

どこまでが発見した原資料で、どこが編者の創意なのか判然としないが、全ページが日記、スケッチ、略図が美しい絵と文で構成にも工夫が施され、アマゾンの奥地の密林を遡行する旅が生き生きと描かれている特異な大人が楽しめる絵本。

〔桜井 敏浩〕