海外安全センター・ブレティン 2014.12月号 「知識は恐怖を駆逐する」 | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

海外安全センター・ブレティン 2014.12月号 「知識は恐怖を駆逐する」


海外安全センター・ブレティン 2014.12月号

「知識は恐怖を駆逐する」

標題は、強毒性鳥インフルエンザ(H5N1)の対策セミナーで、国立感染症
研究所の谷口清州先生が提唱した言葉である。2009年4月に発生した
弱毒性豚由来インフルエンザの前、致死率の高い鳥インフルエンザとして、
懸命に会社の対策を練っていた頃を思い出す。
今では当たり前となったが、「手洗い、うがいが有効です。」と言っても、
「そんな危険な病気なのに古典的な手法で防げるはずがないだろう!」と
罵倒されたこともあり、くじけそうなった時にこの言葉が、ふと我に
返らせてくれたのである。
その頃からエボラ出血熱は、一類感染症に指定され、狂犬病に次ぐ90%以上の
致死率だったと記憶している。世界保健機関(WHO)は11月16日までに、
西アフリカを中心に感染が広がるエボラ出血熱について、世界での感染者が
計1万5,145人、死者が5,420人と発表した。リベリア政府は13日、非常事態を
解除したが、依然としてシエラレオネでは感染者の増加が加速している。
ギニアでも感染は高水準のままであり、マリでは感染の拡大が懸念されている。

11月初旬、日本でもリベリアに滞在した男性が、帰国後に発熱症状を訴えて、
都内の医療機関を訪れていたとのことで騒ぎになり、関西空港の検疫所では
ギニア国籍の女性が発熱症状で指定医療機関に入院した。いずれも陰性で
あったが、陽性を懸念した報道がなされたのは記憶に新しい。
古い話だが、中国でSARSが流行した時、一時帰国した赴任者のお宅は危険視され、
後ろ指を指されたりしたので、帰国者をホテルなどに2週間ほど缶詰にした
こともあった。
スペインのマドリードでは、感染者の知人すら避けるピリピリした雰囲気で、
ネット上でも新たな感染者の発生など根拠のない話が飛び交ったという。
米テキサス、ニューヨークでも感染者が確認され、二次感染者の発症などで
その衝撃が広がっていると伝えられている。
ニューヨーク在住の女性ジャーナリストが、10月28日付 THE HUFFINGTON
POSTで「エボラ出血熱、NYの動き」と題して現地レポートしている。同月24日付
「ニューヨーク・ポスト」一面にEBOLA HERE!の見出しでマスクをしている
警官の写真などが掲載され、見えない恐怖に脅えていることを知らせている。
また、同ネット上では、リベリアの病院で感染し、その後、現地で回復した
ギニア人の女性看護師の体験談なども載っているのでご覧いただきたい。
http://www.huffingtonpost.com

まず基礎知識として押さえておきたいのは、エボラ出血熱は接触感染であり、
空気感染はしないこと。発症前は感染力がないこと。飛沫感染については
未確認であるが、西アフリカ以外は、街中で容易に感染するものではないこと。
もし、具合の悪い人と接触したら必ず石鹸で手を洗うこと。次に、流行地からの
帰国者は体調が悪くなったら検疫所に報告すること。これは絶対に忘れては
ならない。検疫所の指示に従い、自らが感染源になってはならないのである。
他の感染症でも流行国から入国する場合は同様のことがあるのでアナウンスには
注意すること。さらに、デマなどには惑わされず、情報は然るべきところから
発信されたものしか信用しないこと。などなどである。
11月2日付朝日新聞で、WHOのフクダ事務局長も「恐怖の根本は人々が『本当に
知らない』ということだ。」と語っていた。今後、エボラ出血熱対策のセミナーが
開催されるだろうが、我々民間人は、「正しく知って、正しく恐れる」姿勢で学び、
いざという時は落ち着いて対処することを心がけておきたい。恐怖が先に立って
しまっては、正確な判断も対処もできなくなるのである。(了)

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