添付の本報告書は2015年9月16~17日、ワシントンDCでインターアメリカンダイアログとラテンアメリカ協会(JALAC)の共催で開催されたセミナー「Japan-Latin America Relations: Then and Now」(「日本・ラテンアメリカ関係:過去と現在」)のために特別に準備したものである。
過去50年の間、日本がラテンアメリカ・カリブ(LAC)地域の主要な貿易相手国、投資国、融資国、及びODA供与国であったことを指摘している。日本とLACの経済関係は、中国の優勢によって現在影が薄いとされているものの、貿易統計が単に示唆するより遥かに多様化、グローバル化している。日本の対LAC資金の流れは、堅調に伸びてきている。日本の対LAC直接投資累積額は、中国のそれを上回る。また、日本国際協力銀行(JBIC)の対LAC地域の事業規模は、主要な多国間開発機関及び中国政策銀行の融資額に匹敵する。多くの場合、日本の対LAC投資は貿易を代替するような性格をもっており、最先端の技術、ノウハウ、雇用、外貨収入等、多くの機会と利点をLAC諸国にもたらしている。これは、中国LAC関係とは大きく異なる点である。
日系現地法人がLACで展開するビジネスの規模は巨大で、これら企業によるLAC域内での売上高(現地市場、第三国向け輸出と日本への輸出の合計)は2013年だけでも14兆円に上り、同額の5割強が第三国輸出である。これらの現地法人はLAC域内で25万人に雇用の機会を与えている。また、本報告書では、日本が署名する経済連携協定(EPA)の性格および特徴として、貿易投資の自由化を補完するものは「円滑化」と「協力」であって、従来の自由貿易協定(FTA)とは異なることを指摘している。この観点からすると、チリ、メキシコ、ペルーとの3EPAは評価されるべきで、日本のODAはEPAの下で供与される協力体制の重要な一部である。
また、この報告書は、日本とLACとの更なる関係強化のために、いくつかの政策選択肢を提示する。日本は TPPと東アジア包括的経済連携協定(RCEP)の両者に参加しており、太平洋同盟加盟国との二国間のEPAを締結していることで、日本は非APECまたは非TPPラテンアメリカ諸国にとってアジア進出への「懸け橋」の機能を担うことができると提案するものである。
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