熊本で大学を卒業、上京してブラジルの邦字紙サンパウロ新聞東京支社長を11年間務め、1982年に本社勤務のためサンパウロ市に移住、専務まで働いた後50歳を機に同社を離れてフリージャーナリストとして、日本の地方紙・業界紙などにブラジル関連記事を送り、サンパウロを終焉の地と定めた著者の9冊目のブラジル・エッセイ集。
日本とブラジルとの美人の尺度の違い、準備状況をひやひやして見ていた2014年サッカーワールドカップ、仰天なことばかりのブラジル社会事情、伝統的なコーヒーと日本人移住者が広めた柿とリンゴ、日系社会の今、問題山積のブラジルの問題と前途、ブラジルと日本・中国のそれぞれの関わりや発想の違いなど、38編の書き慣れた随想によりブラジルへの理解を深めることが出来よう。
〔桜井 敏浩〕
(熊本日日新聞社 2015年7月 253頁 1,400円+税 ISBN978-4-87755-527-6 )
〔『ラテンアメリカ時報』2015年秋号(No.1412)より〕