講演会のご報告「時代を超え地場に定着する企業群:第4弾-ラテンアメリカにおける製造業の戦略とは?-進出企業からのレポート」 - 一般社団法人 ラテンアメリカ協会

講演会のご報告「時代を超え地場に定着する企業群:第4弾-ラテンアメリカにおける製造業の戦略とは?-進出企業からのレポート」


【開催日時】10月27日(火)16:00~17:30
【会場】米州開発銀行アジア事務所会議室
【参加者】約30名
【講師】
■パナソニックラテンアメリカ社(PLA)伊藤 哲冶・企画担当取締役
■ヤマハ発動機(株)海外市場開拓事業部 エリア開拓部
 中米・カリブグループ 深町 達也・グループリーダー

◆伊藤氏による「中南米における当社の戦略」と題する講演は、パナソニックの海外事業進出の歴史の中でラテンアメリカ展開が、1960年代の輸入代替工業化と地域経済統合対応から、現在の「2018年成長戦略」策定における白物拡大強化とB2Bソリューションの立ち上げに至るまで、どのように推移してきたかという説明に始まった。ラテンアメリカでは現在、地域4極体制(マキラドーラを除くメキシコ、パナマ、アンデス、ブラジル各グループ)を採り、統括機能はブラジルに、地域マーケティング機能をパナマに置いている。「2018年成長戦略」では、アプライアンス(冷蔵庫、洗濯機)とB2Bソリューションに成長基盤を置き、売上規模を1.5倍に拡大する目標である。アプライアンス・ビジネスの例として、ブラジル市場に見合った冷蔵庫および洗濯機の開発と宣伝の例が、B2Bソリューションの例としてワールドカップとリオ五輪における様々な取組み、について紹介があった。
ラテンアメリカでパナソニックが直面している課題として、①グローバル戦略の中でラテンアメリカの位置づけは必ずしも重要ではない、②人の現地化が進んでいない、③モノとカネの現地化について日本(本社)との間にミスマッチがある、④投資環境が厳しく、様々なリスクマネジメントが必要となる等の指摘があり、取るべき方策として、思い切った現地化を進めること、現地の顧客の支店で地域適格商品を開発すること等が挙げられた。最後に山崎氏個人がラテンアメリカ・ビジネスの中で学んだこと7点の紹介があり、ラテンアメリカ・ビジネスに携わってきた参加者の共感を呼んだ。

◆深町氏による講演は、ラグビー・ワールドカップで人気者となった五郎丸歩氏の紹介に始まった。そして、ヤマハ発動機の多様な事業活動(モーターサイクル、FRP船舶ではトップシェア)、船外機(マリンエンジン)、電動自転車、自動車用エンジン(OEM生産)、無人ヘリコプター、産業用ロボット、プール、車椅子等々に加えてラグビー、サッカー等のスポーツの紹介があり、「感動創造企業」という経営理念について語られた。今回の講演は多様な事業の中で、主に深町氏が中米・カリブ地域で営業活動を行っている船外機について詳細な説明があった。
ヤマハ発動機の売上高に占める海外の割合は90%に達しており、内訳はASEANを主としたアジア46%、北米17%、欧州11%、その他15%。ラテンアメリカは「その他」の中に位置づけられ、約10%を占める。
ラテンアメリカには6カ国(ブラジル、アルゼンチン、ペルー、コロンビア、メキシコ、ウルグアイ)に15法人がある。発展途上国でのビジネスは主に二輪車とマリンビジネス(船外機)であり、船外機は漁業で用いられ、長時間連続稼働、過積載、粗悪燃料使用、など過酷な条件で使用される特性を持つ。ラテンアメリカにおけるヤマハ発動機の船外機の市場シェアは60~80%と高く、カリブ地域では70%のシェアを持つ。深町氏の担当地域はメキシコを除く中米・カリブ地域6カ国で、38の特約店がある。パナマに駐在し、マイアミに部品販売会社があるが、「営業マン」は顧客にとってサービスマンや技術者に比べると疎んじられる傾向がみられる。ヤマハ発動機の船外機は品質の良さと耐久性に優れているという評価を得ている。歴史ある特約店があるが、3S(Sales、Service、Spare Parts)をキーワードに販路拡大に努めている。最後にJICAとの連携で、漁業専門家による講習サービスを行っているとの紹介があった。

◆質疑応答の中で、現地での人材育成強化をどのようにやっていくかとの質問が出たが、両氏より長期的戦略の中でプログラムを作り人材育成に注力しているとの説明があった。

配布資料はHPイベント>配布資料に掲載されています。