【講師】亀崎 英敏氏(ABAC(APECビジネス諮問委員会)日本委員)
【日時】2016年4月15日 15:00~16:40
【場所】米州開発銀行アジア事務所会議室
【出席者】39名
APECビジネス諮問委員会(ABAC)は、アジア・太平洋の21カ国・地域で構成されるAPEC(アジア太平洋経済協力)の公式民間諮問団体として組織されたもので、経済界の立場からAPEC首脳会議に様々な提言を行ってきた。特に、亀崎氏が副部会長を務める地域経済統合作業部会は、自由で開放的で質の高い地域経済統合を目指すアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の結成を主たる検討テーマとする部会である。
亀崎氏によると、FTAAPは2004年、ABACがアジア太平洋域内でのFTA締結を念頭に提案した自由貿易圏構想で、2006年以降、APEC首脳会議の主要アジェンダの一つとなっている。アメリカ・中国・日本が加わるAPECは、人口、GDP、貿易いずれをとっても世界の過半を占める規模で、成長し続けている。APECは現在のところオープンで緩やかな組織であるが、FTAAPが実現すると、締結済みあるいは交渉中のTPP(環太平洋パートナーシップ)や日中韓FTA、RCEP(東アジア地域包括的経済連携:ASEAN10カ国+中国、韓国、日本、オーストラリア、ニュージーランド、インド)を包含する壮大な経済圏となる。
APECはFTAAP実現に向けたいわばインキュベーター的な存在として重要であり、ABACは、自由で開かれた貿易・投資の実現に向けビジネス界の具体的なニーズをAPECに助言・提言を行って行く意向で、こうした観点からも2016年秋に予定されているAPECペルー首脳会議に期待するものは大きいと指摘された。
講師の詳細かつ熱のこもった講演に、出席者からはラテンアメリカにとどまらず、グローバルな観点からさまざまな意見が表明され、今後の貿易、投資、人の移動の自由化に向けた動きについて予定時間を超えて質疑が行われた。