【日時】2016年7月29日(金)16:00~17:15
【場所】米州開発銀行アジア事務所
【テーマ】「バルサ・サッカーに見るラ米人の仕事の流儀」
【講師】牧内博幸新任駐ドミニカ共和国大使(前駐バルセロナ総領事)
【出席者】34名
前任のバルセロナ総領事より帰任直後の7月末、駐ドミニカ共和国大使として赴任される直前にご講演をいただいた。その主なポイントは以下の通り。
・サッカーチームFC バルセロナ(バルサ)は昨年4冠を達成し名実ともに世界一のチームとなった。個人技が得意な南米のスター選手を主将イニエスタが統制し、個人技プラス・チームワークがうまく機能したのが強さの秘訣だろう。バルセロナ交響楽団音楽監督の大野和士氏は「スペイン人は日本人に比較して、練習開始当初はその量と緻密さに欠ける点は否めないが、本番直前には見違えるように上達し、想像を超えた力を出すことが多い」と話していた。ビジネスでラテンの人たちと付き合う際には、型にこだわらない気質を理解し、良さを引き出すことが大事になる。
・バルセロナの日系企業、デンソーは設立25周年を迎え、社長は現地のスペイン人が務めている。日本人を社長に据えた他の日系企業に比べ、ロビー活動や社員の福利厚生に気を配るなど、メリットは多い。現地では、企業スタイルは日本式、社長はスペイン人という形がトレンドになりつつある。
・英国のEU離脱後の日系企業の進出先としてドイツとスペインが注目されている。カタルーニャの独立については、憲法規定や中央政府との関係もあり、一筋縄ではいかないのではないか。
・日本の漫画はヨーロッパ・中南米で大変人気がある。ジダンやメッシなど、サッカーのスター選手の多くが「キャプテン翼」の愛読者で、漫画に影響を受けたと公言している。またバルサのバルトロメウ会長は「ドラえもん」の“のび太”とあだ名がついているほどだ。ことほど左様に漫画は語学教育としてだけでなく日系企業の武器にもなり得る。
講演の後、出席者との間で活発な質疑応答が行われ、スペイン政治の混乱について、怠け癖がある現地従業員への対処法、日本企業がラテンの企業から学ぶこと、スペインをゲートウエイにしたラテンアメリカへの進出、バルサのサッカーに魅せられた理由等、多岐にわたってお話しいただいた。
牧内新任駐ドミニカ共和国大使(前駐バルセロナ総領事)
会場の様子