講演会のご報告「米国と国交回復後のキューバ」 (2016年8月30日(火)開催) | 一般社団法人 ラテンアメリカ協会
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講演会のご報告「米国と国交回復後のキューバ」 (2016年8月30日(火)開催)

【講演会】「米国と国交回復後のキューバ」 (ご講演及び質疑応答)
【日時】平成28年8月30日(火)15:00~16:30
【会場】米州開発銀行アジア事務所 会議室
【講師】元朝日新聞記者 伊藤千尋氏
【出席者】48名

 2016年8月30日、元朝日新聞中南米特派員・伊藤千尋氏をお招きし、米州開発銀行アジア事務所を会場に講演会「米国と国交回復後のキューバ」を開催しました。昨年7月、50年ぶりに米国との国交正常化を果たし、本年3月にはオバマ米大統領がキューバを訪問するなど、活気づいているキューバへの関心は高く、48名の方にご参加いただきました。講演の要旨は以下の通りです。

・キューバと米国の関係は複雑で、1959年のキューバ革命以後にカストロが行った農地改革で米系資産を接収したことで関係が悪化。カストロは米国へ歩みよろうとしたが米国が強硬な姿勢をとったことで断絶した。その後、62年のキューバ危機、82年の米国政府によるテロ支援国家指定へとつながる。
・キューバは91年のソ連崩壊で経済危機に陥り、さらに2001年のハリケーンで食糧危機が起こった。その際、米国からの食糧援助を無償ではなく買い取ったことで、米国の農産物関連企業が勢いづいた。米国との国交回復にはイリノイやモンタナの農業関係者からの米政府への突き上げが一役買っている。また、キューバに対するキューバ系米国人社会の軟化、ブラジルなど他の中南米諸国との良好な関係も後押しした。
・米国との国交再開でキューバは様変わりの様相を呈し始めている。もっとも、最近は体格のいい人も増えており、食料事情がかなり改善しているとの印象で、以前は輸出用のみの名産物のイセエビも市内に出回っている。6月には米系のシェラトンホテルも進出。今月末以降、米国-キューバ間の定期便が1日110便に増える。そうなると米国人観光客は激増し、自営業の充実、大型スーパーの出現で庶民にお金が回るようになるのは必然で、すでにその兆しが出ている。
・米国とキューバは経済封鎖の全面解除やグアンタナモ基地の返還問題など、互いに譲れない課題が残っている。キューバ人は自立心が強く、楽天的で、したたかさも持ち合わせている。ソ連崩壊後は支援国家が次々登場したり、国内的には有機農業によってピンチをチャンスに変えたりして、幸運にも恵まれた。キューバ政府自身、昔のような均しく貧しかった絶対平等の時代に戻ることはないと認めてはいるが、社会主義体制はカストロ後も存続するだろう。

 講演後の質疑応答では、キューバと日本の関係、キューバにおける接収米系資産の保護などを目的とした「ヘルムズ・バートン法」に関する質問にお答えいただきました。

【配布資料】
「米国と国交回復後のキューバ」(講演メモ)
「米国と国交回復後のキューバ」(写真)
伊藤千尋氏 作成
※配布資料はHPイベント>配布資料に掲載されています。会員限定となりますので、ご了承ください。


元朝日新聞記者 伊藤千尋氏

会場の様子