素晴らしい海岸と岩山などの自然の眺望に恵まれ、それでいて古さとモダンが織りなす都市、リオデジャネイロは、ボサノヴァの甘いメロディ、参加する者が至福感をもつカルナヴァル、愛と郷愁(サウダーヂ)を感じさせる誰もが恋する街。
書名は、リオの外国人向けポルトガル語クラスで一緒になったたぶん旧東ドイツからの女子学生が暑いクリスマスに不平を言った際に、著者が答えた「リオに雪が降るとすれば世界が終わりの時だけよ」という比喩から付けられている。
ブラジル文学とボサノヴァ等音楽の研究者である著者(共立女子大学教授)が、2003年に1年間滞在したリオへの郷愁を込めて綴った良質のエッセイ集。
〔桜井 敏浩〕
(岩波書店 2016年7月 140頁 1,800円+税 ISBN978-4-00-025573-8 )
〔『ラテンアメリカ時報』2016年秋号(No.1416)より〕